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□【01 はじまりのはじまり】
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【はじまり】
春。出会いとはじまりの季節。
どこにでもある、とある進学校「青葉学園高等学校」でも入学式が行われていた。
「また、アキラと毎日顔合わせる生活かぁ。」
アキラと呼ばれる男子生徒の隣で小さくて派手な男子生徒、ユウスケがクラス表を見ながら話している。
「またもなにも同じ学校選んでるし、家だってお隣さんなんだから嫌でも毎日一緒になるでしょ。」
「これが腐れ縁ってやつか。」
保育園から幼馴染で、家も隣同士の2人。
大人しそうなアキラと派手で変わり者なユウスケ。
周りから見たら一見、気が合わなそうな2人だが、2人には共通点があった。
「ここでも、バンドやるんだろ?」
ユウスケの問いに、当たり前という表情でアキラが答える。
「もちろん!軽音部早く見学に行きたいな!」
アキラとユウスケは中学でもバンドを組んでいて、他のメンバーは他校に行ってしまったから2人で新しいメンバーを探して1からやり直すつもりでいた。
アキラは主にギターボーカル。
ユウスケはキーボードとMC担当をしていた。
「本当お前って音楽バカ。あ、成績も悪いか。」
笑うユウスケ。
「ユウスケこそ、頭良いんだからもっと上目指せたんだろ?なんやかんや俺とまたバンドやりたかったんでしょ!」
「ばーか。自惚れんな。お前みたいな見た目根暗のコミュ障相手できんの僕くらいでしょう!しかも!アキラこの学校すらギリギリ入れたくらいのバカなんだから、ほっとけなあわ。」
「ね、根暗じゃないし!バカだけど。」
「ほら、そろそろ入学式始まるってよ、おバカなアキラくんはB組に行きなさい。僕とクラス離れて寂しいだろうけど、入学式終わったら集合な!ま、天才な僕はA組だけどね。」
たわいもない会話。
ユウスケの皮肉にも慣れた。
ここから新しい音楽が始まると思うとドキドキしてワクワクして、おかしくなりそうだ。
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