ラブカルチャースクール 3

□7章 I Lesson 1回目
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教室に戻る前にお手洗いに寄って、ショーツの状況を確認した。

「あぁ……結構大変なことになっている〜」

セイジが余り考えなしなことはしない方だと思うけど、今日の行動は謎である。

「今度からセイジの所に着替え置いておく訳にもいかないもんね」

ショーツをジャケットのポケットに入れておけないし、バッグに忍ばせておくしかない。

などと考えていると、まるでまた今日みたいなことを期待しているみたいだな。

考えるほど、ますます顔が熱くなる。

教室に戻るまでに火照りを抑えないと、ジュリはともかくヤナセは誤魔化せない。

『ヤナセにバレないようにしてね……』

セイジは楽しそうに言っていたけど

「はぁぁ……セイジだってヤナセの千里眼、分かっている癖に〜」

項垂れながらトイレの個室で深いため息を吐いた。



教室に戻ると案の定――――

「コットミ〜! 遅いよ。どこに遊びに行ってたのよう〜!」

ジュリが中々戻ってこない私を怪しんでいるのか、尋問してくる。

こんな風に毎回聞かれたとしたら、困ってしまう。

言い訳を考えるのもネタが尽きるだろうし、白々しいといつかバレてしまうかも。

セイジの所もそんなにしょっちゅうは行けないと、改めて肝に命じる。

「う、うん。いよいよ実技レッスンだなって思ったら緊張しちゃって、トイレに引きこもっちゃった」

「え〜!? 本当? そんなんでこれから大丈夫なの〜」

ジュリの言葉にちょっと気になりながらも、ここは何とか話を合わせていく。

「はは、だよね〜。頑張るよ」

「そうよ! 今までのレッスンの延長線だと思って楽しめばいいのよ〜」

「楽しむ……?」

「うふふふ……」

ジュリは今日も綺麗に手入れした爪先を見せるように、立てた小指を唇に当てて意味深に微笑む。

『楽しむ』――――。

確かに楽しいレッスンもあったけど、私はいつもどこかに不安を抱えていた。

ジュリはいつもレッスンを単純に楽しんでいたのだろうか……

ラブカルに来る生徒って、悩みを抱えてくるんじゃないの?

目の前で明るく笑っているジュリの胸の内を少し知りたくなった。


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