ラブカルチャースクール 3

□3章 Lesson チェリー
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「え……琴海さんだけ追加レポート……ですか?」

「はい……私がうっかりしていたもので、すみません」

レポートを書いたタブレットを両手で賞状を持つように掴み頭を下げて、この世のものとは思えないほど美しい講師に差し出す。

まだ初日なだけあって、レッスンはぎゅうぎゅうに詰められていなかった。

レッスンは基本一時間半。

休憩は長めに二十分はある。

レッスンの度に報告書を細かく書くラブカルにとっては、研修中のレポートはその基礎となるようで、セイジのレッスンの後にはレポートを書くために一枠設けられていた。

その指導は私たちの担当――――超カリスマ講師『ヤナセ』が受け持ちだ。

「クス……初日からセイジらしくなく厳しいですね」

「はぁ……。甘えは禁物だという愛の鞭ですかね」

「愛の……鞭ですか」

「あっ!! 例えですよ! 例え!!」

「クスクス……承知しました」

つい例えで言ってしまったとはいえ、ちょっと思わせぶりな言い方をしてしまっただろうか?

そんなやり取りでも相変わらず敬語で妖艶に微笑むヤナセに、必要以上にドキドキさせられる。

挙動不審の私の横でヤナセは、長い睫毛で縁どるヘーゼルの瞳を少し伏せて、ものの数秒で必死に書いたレポートに目を通し終わると――――

「これで大丈夫かと……。今からセイジの所に提出してきますか?」

スーツの袖を軽く捲り高級そうな腕時計を見やりながら、不意に爆弾を投下してきた。


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