桔梗
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「紅蓮と紫雲は暗部という職についているんじゃか、詳しい話は後日するとして、この2人に凛の護衛を任せる事にした」
続けて火影様が口を開く。
「護衛と言っても名ばかりじゃ。凛の事を守るのもそうじゃが、メインはこの世界の理を教えたり生活の手助けをして貰えば良い。紅蓮と紫雲は木ノ葉最強と謳われるほど強いから何かあっても安心じゃ」
火影様曰く、私が別世界からやってきたと知られれば間違いなく殺されて解剖されるという。
それに異世界からやってきたと知る者がいれば、私を狙う人も増える事くらい想像も容易い。
二ヶ月後、一人で生活が出来るようにサポートするのが事情を知る二人という訳だ。秘密を知る人数も少ないに越した事はない。
火影様が信頼を置く人物であり、二人は里にとって重要な役職に就いている事が窺える。
仕事を増やしてしまった事に罪悪感を持ちつつ、これから嫌でもお世話になる二人へ深々とお辞儀をした。
「言い忘れておったが、凛は二人の隠れ家に住んでもらうことになった。生憎空き家がなくての。すまんがここにいる間はこやつらの家を自分の家だと思って使ってくれ」
火影様の言葉に、なるほど。と思わず呟いてしまった。
先程揉めていたのはこの件だったのだろう。さらに申し訳なく思った。
「‥家まで借りてしまい色々とすみませんが、よろしくお願いします」
「あぁ。毎日居る訳じゃないから好きに使ってくれて構わねーよ。あ、でも紅蓮は使ってるんだっけ? じゃあ、後は頼むぜ」
「え?」
そう言い残して、紫雲さんは颯爽に消えた。
それと同時に紅蓮さんはキッと私を睨みつけて舌打ちを決め込んだ。
「そう言うことだ紅蓮。あとは頼んだぞ。夜も更けてきたからの、話の続きはまた今度じゃ。凛は紅蓮に連れて行ってもらいなさい」
分かりました。と言う前に、紅蓮さんに俵を運ぶ時の様にひょいと抱えられた。
「ちょっと、紅蓮さ‥」
「騒ぐな。黙ってろ」
鬼のような形相をしているであろう紅蓮さんに私は頷くしか出来なかった。