小説

□今日の魔王様
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ここは"ミラ王国"。

悪魔が王を勤める離島にある王国だ。

悪魔らしからず差別を嫌い、徹底した差別禁止法を作っており、多種族がそこそこ幸せに暮らしている国となっている。

その国の王、ストラス=N=ノックスは…………女好きだった。

【魔王城】

様々な絵画に赤いカーペットの広い廊下にて、肌が青白い継ぎ接ぎ顔のメイドが困っていた。

この城では死体に浮遊霊や地縛霊の魂を入れ、メイドとして雇っている。

時に警備として侵入者とも戦う危険な仕事だが、自由に動ける身体を貰った事から感謝しているらしく魔王の為によく働いている働き者たちだ。

よくゾンビと間違われるが、ゴーレムや泥人形に近いらしい。

ただ材料が死体であっただけ。

それもノックス一族に伝わる秘術の1つらしい。

そんな健気なメイドが掃除道具片手に眉をハの時にして掃除を邪魔している者を困り顔で見下ろしながら、言葉を発した。

メイド「あのぅ、魔王様?床に転がられては掃除が全然、捗らないんですが……」

魔王、廊下に転がっていた。

ストラス「うむ。掃除、御苦労。邪魔してすまないが今は動くわけにはいかないのだ」

メイド「具合が悪いのでしたら、医療スタッフに話しましょうかぁ?」

ストラス「否。ここに転がっていたら、パンツが見えると閃いてな!」

真顔でセクハラしている魔王であった。

メイド「パンツ、ですかぁ?でも、魔王様って一部の兵隊さんや関係者を除くと、皆最低でも一夜の関係はありますよねぇ?」

この魔王、変態につき。別に強制はしたことはないが言葉巧みにそんな関係にする辺り、まぎれもなく悪魔なのだろう。

ストラス「うむ。パンツどころか、処女膜の奥までぶち抜いてるぞ!」

床に仰向けで転がりながらドヤ顔。下品である。

メイド「なら、パンツなんて大して面白くないのではありませんかぁ?」

ストラス「否!確かに比べてしまうと中身には劣る!しかしパンツにはパンツの魅力が在るのだ!隠されているパンツの中には無限の可能性がある!見たことがあるからといって昨日見た股が、今日も同じとは限らない!つまり、比べてしまうことこそが愚行なのだ!!」

怒濤のセクハラであった。この魔王、メイドにまったく恥じることなくパンツの魅力を語っているのだ。

これで支持率99%の魔王。

きっと神や神徒が見たら、こう思うであろう。世の中は不条理だ。

その怒濤のセクハラッシュを間近で受けたメイドは言葉を失っていた。

当然だろう。

大人、それも一国の魔王が廊下に転がり天を仰ぎながらセクハラしたのだ。

しかし……

メイド「………私、感動しましたぁ!流石は魔王様ぁ!そんな深い考えがあったなんてぇ!」

感激し涙を流していた。どうやら、本当に感激したらしい。

ストラス「ふふっ、では、パンツを見せてくれるか?ロングスカートが故、まだ見えてないのだ」

真顔でスカートを捲るように促した。

メイド「はい!恥ずかしいですがぁ、頑張りますぅ!」

ゆっくりとスカートを上げ始め

ストラス「そうだ、それでよい。大いなる秘宝を我が眼に!」

あと僅かでパンツが見える、そう安堵したが予期せぬ襲来があった。

クレア「ストラス、何してるのかしら?」

色白肌に青筋を立て、ピクピクと怒りの形相で魔王を睨み付けているのは執務官をしている魔銃のクレア。

ストラス「これは………その…」

冷や汗がダラダラ流れ出した。

この魔銃はストラスとはマフィア時代からの付き合いであり、マフィア時代はストラスのお目付け役みたいな感じでつるんでいたようだ。

クレア「問答無用!!」

ストラス「ぐはっ!?」

魔王の腹に踏みつけるように蹴りを入れた

メイド「ま、魔王様ぁ!?」

クレア「そして、貴女もバカに何をしてるの!バカなの?死ぬの?」

魔王を蹴りながらメイドに文句を言う

メイド「いや、既に死んでますよぉ?」

と、言った瞬間、別のメイドが窓を開けた。

その時、風が吹き、メイドのスカートが捲れた!

メイド「いやん」

スカートを押さえるも、本気で嫌がる素振り無し。

ストラス「おう、白か」

それと同時に魔王のポケットからはみ出ていた布が風で飛び出した。

黒いパンツだった。

クレア「………ストラス…」

ストラス「なんだい?」

満面の笑みでクレアを見上げ

クレア「これ、私が昨日洗濯したときに無くしたパンツなんだけど?」

ストラス「ああ。戴いた」

その後の末路を理解した魔王は正直に述べた。

城内で下着が無くなる事例が増えているが、やはり魔王の仕業だったかとクレアは推理した。

そして、その推理は大正解。魔王のポケットからは他にも何人かの下着が出てきた。

クレア「…………焦げなさい」

ストラスを中心に魔方陣を展開しだし

メイドは走って物影に退避した。

ストラス「……仕方あるまい…」

クレア「白雷爆破!!」

閃光とともに爆発し、魔王ごと城の一角は爆散した。

放った白雷は古代魔術の上級なもの。直撃なら死体すら残らない。

そんなものを魔王にぶつけたのである。

その爆発の中心に爆発で上半身半裸となった魔王が仁王立ちになり、パンツを握り締めていた。

ストラス「我が生涯に一片の悔いなし!」

立ったまま、気を失った。かなり頑丈だ。

クレア「馬鹿らしい……」

スタスタとクレアは執務室に帰った。

メイド「ちょっ、誰かぁ!魔王様がぁ!!」

何時もの事かと溜め息をついて現れた医療スタッフが魔王を運び治癒するのであった。

今日も魔王城は平和だ。
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