小説

□沙汰
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「カンナ!…カンナ!」
「煩いなあ、沙汰。何?」
「お前、2組の近藤に告白されたんだって?」
「え、なんで知ってんのよ!」
「お前付き合うのか?」
「はあ⁉付き合わないよ!私あの子としゃべったこともあんま無いんだし」
「そうかよ…じゃあ、いいけど」
「てゆうか小6で男女交際なんて、まだするもんじゃないでしょう」
「…そうか」

「カンナ!」
「ああ沙汰、中学でも同じクラスね」
「そうだな!…うえ、近藤いるじゃん」
「近藤?なんで?」
「はあ?…まあ、いいよ、わからなかったらさ」
「男子のいざこざに女子を巻き込まないでね」
「そういうわけじゃねえけどさ」

「カンナ、お前また告られたのか?」
「またって、失礼でしょうそんな言い方。みんな中2で思春期だし、血迷うこともあるのよ」
「お前のが失礼じゃねえか…。つか、その口ぶりだと断ったみてえだな」
「断るよ、そりゃ。だって好きじゃないもん」
「お前、好きな奴、いないの?」
「いないよ」
「ふーん。俺はお前が好きだけど」
「私だって沙汰のことは好きだよ」
「…そういうことじゃねえよ」

「ねえ沙汰、高校どうする?」
「決めてないな、カンナは?」
「普通に考えれば近くの公立だけど、三国の未来自由ヶ丘ってとこが割と良いらしいのよ。近くないし偏差値は高いけど届かない程じゃないから、私受けてみようかなって」
「じゃあ俺もそこにするよ」
「本当?そう言ってくれるの期待してた、ありがと」
「いいよ」
「沙汰のそういうとこ好きだよ」
「俺もお前が好きだよ」
「知ってるよ?去年も言ってくれたじゃん」
「…もういいよ」

「無事合格できてよかったねえ」
「俺はかなりギリギリだったけど」
「私の献身的なサポートのおかげだよね」
「本当だよ、感謝で言葉もねえな(棒)」
「おまえな」
「…なあ、カンナ」
「ん?」
「好きだよ」
「私もだよ?」
「そっか」

「あれ、近藤くんと同じクラスじゃん!」
「はあ⁉あいつ来自だったの⁉」
「私も2年目で初めて知ったわー、よかったね沙汰、中学ん時から気にしてたじゃん」
「そういう意味じゃねえよ‼」
「あれ?そういうことじゃなくて?」
「お前わざとやってんだろ」
「うわバレた」
「…カンナ」
「ん?」
「やっぱ、いいや」



「…あなた誰?」
「………………」
「わ、私、急いでるから…」
「……俺は、____」
「え、何?よく聞こえ…な…」



「…ここ、どこ…」
【貴方…知ってる…わたし】
「わたしは…」
【男の子だけど…そうじゃないのね…】
「え………?」
【ここにいちゃだめ…上に…外に出ないと…】
「まって…!あなたは…⁉」
【ここで過ごして…いつか来るあの人を助けてあげて…】

「ぷはっ!あれ…水…?てかここどこ⁉」
「…あれ、私の髪…赤い……?」
「…待って、わたし、こんな…待ってよ、こんな…わたし…」
「男じゃないか…」
「わた…しは…お…」





「湖に映った自分の目を見て、そこから記憶が無い?」
「……」
「じゃあ、湖の周りの村の住人たちに襲いかかったのは?」
「…覚えて…ない」
「まだ、納得仕切れないけれど、まあいいでしょう。逆に、何か私に質問は?」
「………誰」
「3代目・蘭=B貴方は?」
「……つるぎ」
「上の名前は?」
「………………………剣」
「剣つるぎ?…変わった名前ね」
「………………」
「まあいいわ。じゃあ、貴方の部屋に案内するから立って」
「……⁉」
「なに?」
「…あんな事…したのに」
「確かに、ね。…でも、だからこそなのよ」
「…?」
「私のそばにいれば、こんな1人しかいない牢なんかに人員を割かなくても一日中監視出来るじゃない」
「…でも…」
「貴方には一応兵士として私の近くに置くわ。だから訓練にも参加してね」
「…………」
「それ以外は、好きにしてくれて構わないから、ね」
「………あり…がとう…」
「いいのよ!監視はしてるんだし!」
「……ここで、やり直せる…のか」
「…まだまだこれからよ」



「いや、驚いたわ」
「何がだ」
「まさか貴方が、たった2年で団長まで上り詰めるなんて、ね」
「…そうだな。俺も驚いてる」
「ちなみに私はノータッチだからね?何も弄ってないわ。貴方が団長になったのは…正真正銘、貴方の人望よ」
「…ありがとう」
「やめてよ、不正したと思われちゃ嫌でしょ?」
「蘭」
「ん?」
「俺は、お前を守る為に生きるよ」
「……ありがとう、つるぎ」
「…いや」
「でもね、違うわ」
「…?」
「あなたは、私なんかの為に生まれてきたんじゃないの」
「………………」
「それが誰かわかるまで…私の兵士でいてね」
「…ああ」
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