本
□あなたの好み。
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日曜日。
部活も学校も無くて、パソコンとか音楽でも聞いて暇を潰そうと思っていたけど。
「光、明日うち遊びこおへん?」
好きな人の誘いとくれば、断る理由なんてないだろう。
ーーーーーーー
「失礼します……」
「おん!遠慮せんでな!」
謙也さんの部屋は割と綺麗やった。ものは多いけど、整理整頓されていて生活感があった。部屋いっぱいに謙也さんの匂いがして、嬉しさに眉を潜めた。
あかん、嬉しい。恥ずい。楽しい。
「あーせや、なんか飲みもん持ってくる?何がええ?」
「えっと、あるもんでいいです。」
謙也さんは分かったと微笑んで部屋から出てった。
好きな人の部屋ということもあり、1人じゃ全然落ち着かん。かと言って漫画読んでたら感じ悪いかな。
あー、でもええか。いつもそんな感じやし。突然態度良くなっても変やしなぁ。
よし、読むぞ!よし。
ぎこちない動きで本を漁っているとたくさん並ぶ本の奥の方に、ピンク色の怪しい本を見つけた。
(なんやろ……)
無理やり本をかき分け、2、3冊取り出すと、表紙を見た瞬間俺は真っ赤になった。
(こ、これ。えええええエロ本やん!!!!)
『 乳首攻め☆〜ドドドドS彼氏〜』とか、『 淫乱人妻〜僕を包んでFカップ♡』
だの、俺が知ってるsexとはかけ離れた印象の本ばっかりやった。
俺はあんまこういうんに興味なくて、正直女じゃ勃たへんから読んだことないけど、あるっちゅー事は謙也さんが好きっちゅーことなんやろなと思い、俺は読んでみることにした。
(うわーなんやこれ!後ろの穴使うんは男だけやないんや……)
想像以上のディープさに俺は興味津々やった。初めてやし。知識的な意味で釘つけ。
パラパラとめくる中、俺は途中で手を止めた。
(この人、ちょお謙也さんに似とるなぁ……)
顔だけじゃない。関西弁やし、金髪と髪型も。
あかん、かっこええかも。
『ここ気持ちええ?それともこっち? 』
「……っ……」
『どっちも?淫乱やなぁ。こここんなんして、恥ずかしゅうないん? 』
「…………」
ごくり。
喉がなった気がした。男同士ではないけど、かなり興奮した。
あかん、勃ちそう。
「……へぇ、こういうのがええんや。」
……
?!?!
「え、え、ええええ?!あ、んた!!!」
「悪い、邪魔した?」
「いいい、いつからっ!」
「うーん、割とずっと。」
(見られた!)
一気に不安が押し寄せた。このキャラ謙也さんそっくりやし、……好きってバレた?
耳まで熱かった。
なんで、気づかんかったん。
「こんなんがタイプなんや」
「い、いや。ちゃうくて、」
「ええよなぁ、巨乳やし。唇プルプルやしなぁ。」
「ちゃうんですっ!……って、え?」
「え?この女、タイプなんやろ?」
……?!?
なにいうてんの?そんな訳ないやん!俺ほもやし?!
ってそりゃそうか。誰も俺がホモなんて思っとらんやろし。
「え、と、まあ、はい。」
「ふーん……」
「あの、謙也さんは……?」
「俺はなぁ……」
謙也さんは俺から本を抜きとると、ベッドに本投げた。
そして、謙也さんの顔がだんだん近付いてくると思えば、唇に柔らかい食感がした。
「女もええけど、こっちのが好きやな。」
それが唇だったと気付いたのは、この数秒後の話。