中編
□私のものになりなさいっ !!!!
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- - 日向side
「 ... 」
「 ... 」
沈黙というものは不思議なものだ
どちらも同じ沈黙だが 、
互いの表情は全くの別物だった
玉利の表情は朗らかだ
いつものように
何を考えているのか分からない
そんな笑顔で狛枝を見つめていた
にこやかに微笑む玉利とは逆に 、狛枝の表情はというと
「 .. すっげぇ睨みだな、こわっ 」
左右田が感心したような 、半ば呆れているようにも見える表情で呟いた 。
左右田の言う通り 、これでもかというほどの表情で
玉利を睨んでいた
「 彼奴も毎日毎日よく懲りねぇよなぁ 、」
「 まぁ 、それこそが彼奴の才能なんじゃないか ? 」
彼女の才能は 、
" 超高校級の弁護士 "
随分と口が達者で 、人を御託で丸め込むのなんて さぞ簡単だろう 。それに 、誰しもが認める諦めの悪さ 。本当に感心してしまう程だ 。
彼女は 、狛枝が言う確実な希望を否定していた 。そして 、自分とは異なる考えを持ち 、自分に対抗してくる彼に興味を持った 。だからこそ彼女は狛枝に食いついた 。
" 彼奴の信念なんて 、私の力ですぐに捻じ曲げてやるわ "
" そして私のものにするのよ "
俺は毎日のようにそれを聞かされる 。本当に俺の才能って相談窓口なのかな .. 。俺の話は良いとして 、玉利はいつも成果が得られたような話をしない 。もうそろそろ諦めた方がいいんじゃないかとも思う位だが ...
「 迷惑なんだよね 、あっちに行ってくれないかな 」
「 狛枝くん午後は暇かな ? 一緒に映画館なんてどうだろう 」
「 ... あれじゃ到底諦めないな 」
「 もう寧ろ諦めないで欲しいぜ .. 」
左右田の明らかに若干敬意の混じった台詞に 、まぁ 確かに 、と
納得してしまう自分もいたのだった 。
n e x t ↱
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