短編


□穴の休日
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穴が疲れた。身も蓋もないだろうか。
しかし的確すぎる表現だと思う。これ以外には考えられない。
穴が、疲れた…。

「どうだ参ったか。」
言い返す気力も無い。
「取っちゃって良いね?もう出なさそうね。」
「参…りたくない。」
「んー?」
あ、前、触んな。
言う前に握り込んでゴムを抜かれる。

一部始終を見つめてしまい後悔した。しかし若干の可笑しみ。
そこが裸になる瞬間、先端がちゅるりと糸を引いた。
中に溜まっている量は少なめだ。
何回か出すんなら捨てるのは勿体無い気もする。

「どれどれ。貯蔵庫の塩梅は?」
玉、揉まれると。いや別に良くもないんだが。
「もうすっからかんだぜ。」
「ほんとかなあ、銀さんはまだなんだけどなあ。」
「あっ、ひ。」
移動した手に棒を直に上下されると、頰に寒気が走った。
ざっ、と霜に覆われるような感覚。

「お、乗ってきた?」
勘弁してくれ。
「取れちまう。」
「それが好きな癖に。」
はあ。
「良い、俺が悪かった。穴で良い。どんと来い。」
そんな遣り取りが昨夜。

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