短い夢
□幸せというもの
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______ああ、そうだった。
結局昨日の夜、コイツは部屋に来た。
あれだけ“もうしない、もう行かない”だの言っておいて
「明日から忙しくなるから」だとか言い訳して。
「添い寝だけ」とか言われたが、そんなもん無理に決まってた。
コイツの体の心地よさも、喘ぐ可愛い声も、淫らな姿も、知ってしまったから余計だ。
抑えられるわけがねぇ。
その行為は全てが俺を満たしてくれた。
隣でまだ寝息を立てているコイツは、シャツだけ羽織って下は下着姿だ。
......半年前まではこんな事、全く想像してなかった。
たった一日でこんなにも開放的になるのかと思う。
そっと額にキスをして起き上がって布団をどければ、性欲を誘う厭らしい尻と脚が露になった。
それでもまだ寝息を立てて熟睡しているコイツ、イヴは、よっぽど目覚めが悪いらしい。
それをいいことに、普段は見ないようにしてた尻を凝視した。
“プリケツ”と言われてたイヴの尻は、確かに魅力的だ。
鍛え上げられた肉体は無駄な脂肪がなく、引き締まった尻は多分毎日訓練してきた女兵士だからこそ出来上がったのだろう。
俺はそっとその尻を触ってやった。
......それでも身動き一つしないもんだから、そのまま秘部のほうに手を伸ばした。
下着の上から指で擦ってやると、横向きから仰向けに寝返りしやがった。
起きたか?
そう思って名前を呼んでみた。
「イヴ......」
「......」
......どうやら起きてないらしい。
無防備な体勢に、俺の顔は自然と緩んだ。
この関係になってまだ一日もたっていないというのに、完全に許されている気がして嬉しくもなった。
時間はまだ30分程あるだろうか。
起きたらきっと怒られるんだろうな。
「なんで普通に起こしてくれないの」とか言って軽く叩いてきたりするだろうか。
そんな姿も想像すれば、それも悪くないと思った。
今度は上半身を覆っているシャツを胸の上まで捲り上げた。
そして露になった豊富な胸の先端を弾いてやれば、体は小さく震えた。
「んっ......」
小さくそう言って顔をしかめたイヴは、きっともう起きるだろう。
上から跨がって「おはよう」と言ってやれば、どんな顔をするだろうか。
その反応が見たくて、俺はイヴの上に跨がった。
胸を掴んで先端を舐めてやり、下着の中で膨らんでしまった自分の股間をイヴの股間に押し付ければ、イヴは益々顔をしかめて甘い声を出した。
「んっ......リヴァイっ」
「......起きたか?」
ようやく起きたらしい。
薄く目を開けて恥ずかしそうな顔をしたイヴの唇に、俺はそっとキスをした。
「おはよう」
唇を離してそう言ってやれば、イヴはまた照れ臭そうにして小さく「おはよう」と言った。
「寝起きが悪いな、分隊長。会議に遅れるぞ」
悪戯に胸を揉んでやりながらそう言ってやると、まだトロンとしていたイヴの目が急に見開いた。
「うそ、今何時?! っいたっ!」
「......まだ30分ある」
すると焦って突然起き上がろうとしたもんだから、額が俺の額にぶつかった。
イヴは痛そうに額を擦り出した。
俺には大して痛くはなかったが......。
だがおかげで完全に目が覚めたようだ。
「っ......ごめんっ、もう起きなきゃ」
「そうだな」
「......その手やめてくれないと起きれないんだけど」
「お前が誘うから悪い」
恥ずかしそうに睨んでくるイヴがまた可愛く見えて、ずっと胸に置いたままだった手はどけれそうになかった。
本当は可愛いからやめられねぇ、なんて俺は相当イヴの虜になってしまってるらしい。
実際イヴの体は可愛くて、触ってくれと誘ってくるんだからあながち間違ってはいない。
「誘ってないっ! 会議は遅れちゃ駄目でしょ、兵士長」
そう言って胸を揉む俺の手首を握ってきたイヴの力は弱くて、本気を出せばすぐに振りほどけただろう。
きっとヤろうと思えばヤれた。
10分あればすぐに気持ちよくして自分の欲も吐き出せただろう。
だがあまりにもヤり過ぎると嫌われるかもしれねぇ、コイツが離れていくのだけは勘弁だ。
そう思って俺は名残惜しくも手を離した。
「わかった」
そう一言言って起き上がってやれば、イヴは少し驚いたように起き上がった。
「ごめん、服はだけてた? これからはちゃんとパジャマ着ることにする」
起き上がると服を整え、下は下着しか身に付けてないことを思い出したのか、イヴは恥ずかしそうに布団を腹まで被った。
これからは、ということはこの先もまたこうして朝を迎えるつもりがあるらしい。
「そうだな、お前のプリケツとやらは男なら皆襲いたくなるだろうな......寝起きも悪いしな」
素直なイヴの言葉にきっとにやけてしまっただろう自分の顔を隠すように、そして膨らんだ股間を隠すように俺はイヴに背を向けてズボンを履いた。
怒って叩いてくるだろうか。
そう思ったが、後ろに来る気配も返事もなかった。
何だか不思議に思い振り返って見ると、イヴは恥ずかしそうに髪を手でといていた。
「リヴァイは興味ないと思ってた......」
「ないわけねぇだろう、馬鹿......俺を何だと思ってんだ」
「いや、でも、女兵士は皆プリケツだよ!? ハンジだって人の事ばっか言うけどプリケツなんだからね」
「ハンジの話はいい、俺はお前じゃないと興奮しねぇ」
何言ってやがるんだ、コイツは......。
俺が“プリケツ”なら誰でもいいとか思ってるんじゃねぇだろうな?
クソ......あのクソメガネの名前を出すから一瞬想像しちまったじゃねぇか、気色悪い。
「......ありがとう」
「は? ......!」
咄嗟に言ってしまったが、イヴは恥ずかしそうに立ち上がって前から抱き締めてきた。
......これでは膨らんだ股間がバレてしまう。
イヴは気付いただろうか、紛らわすように手を背中に回して髪を撫でてやると、イヴはすぐに体を離した。
「早く着替えて用意しなきゃっ......! あ、ベルトとか自分の部屋だから、私一旦自分の部屋戻るからね! ハンジも起きてるか心配だし、会議室で会おう!」
イヴはそう言いながらズボンを履き始めた。
喜怒哀楽がわかりやすく、行動パターンも掴めてしまいそうな程単純なイヴ。
そのくせ、その行動と言動は俺に安心と癒しを与えてくる。
「......わかった」
胸の下着を器用にシャツの中で装着し終えたイヴは、小さく「よし」と言って顔を叩いた。
もう出ていってしまう。
俺はその姿を名残惜しく眺めた。
「じゃあ、あとでね」
そう言って振り向いたイヴが愛おしく感じた。
できることならこのままずっとここに閉じ込めておいてやりたい。
いや、それは酷な話だ。
この世界は残酷で、今いるこの場所も腐った空気しか流れていないのだから。
もし、壁の外の巨人を絶滅させて外の世界に移住できたなら......。
その時は何も考えずにずっと二人で紅茶を飲んだり、旨い食事を食べたり、くだらねぇ話を語り合ったり、朝からセックスしてみたりなんかしたい。
だが、そういえばウォール・マリアが陥落したんだったっけ。
それは随分先の話になるかもしれねぇな......。
そんなことを思っていると、突然イヴの唇が俺の唇に触れた。
「......寂しかった?」
唇を離してそう言ったイヴは何だか照れ臭そうで、イヴに気付かれる程俺の顔はきっと男らしくない面してたんだろう。
「うるせぇ、さっさと行け」
そう言って頭を小突いてやると、イヴは「うん」と言って微笑んだ。
「またね」
そう言って出ていったイヴに、俺は小さく「ああ」と答えた。
会議まであと15分程だろうか。
たった15分のあいつとの時間が、俺の心を穏やかにさせた。
これが幸せというものなら、そうなのかもしれない。
こんな腐った壁の中でも、あいつの存在だけは心地いい。
あと15分で俺の股間は鎮まるだろうか......。
終わり.