短い夢

□関西弁版*好きやて言うてるねん
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「9時の方向から10mぐらいのでっかいおっさんめっちゃこっちに向かってきてます!」


「ちゃうやろ、あれでっかいおばはんや!」


「何でもええやん、早よガッサーいったれ!!」


ある日の壁外調査中、兵士達は馬から立体起動へ移り、続々と現れる巨人のうなじをガッサーいってほてくりまわした。


そんな中でハンジとその分隊とリヴァイ班はヤバイおっさんに出くわし、捕らえるための作戦を遂行していた。

ハンジの分隊に所属するイヴは、モブリットと共にハンジの暴走を止めるべく、常にハンジに目を光らせた。


「ええ子やなぁー! おとなしくしときや! 悪いようにはせぇへんから! 誰もあんたのことガッサーいったりせぇへんで」


ハンジは今にも食い散らかそうとしてくるおっさんに近寄った。

するとおっさんはでっかい口開けてハンジの頭に向かってきよった。

ハンジはすぐにその場から立体起動で逃げた。


「うおっ! 危なぁ!! 何も痛いことせぇへんやん、な?」


「分隊長!! 近寄りすぎちゃいます?! あんたおまんまになりたいんですか?!」


モブリットはそんなハンジに向かって叫んだ。

そこに周りを見渡したイヴが叫んだ。


「分隊長! 左右からでっかいおっさん2体ずつ来てます!」


「ちっ! オイ、クソメガネ......! そいつはあきらめぇ!」


一瞬にしてでっかいおっさんに囲まれるようになり、今度はブレードを構えていたリヴァイが叫んだ。


「何言うてんねん、リヴァイ! この子は披検体になるんや! 絶対連れて帰るで!!」


ハンジはそれでもヤバイおっさんに近寄ろうとしとった。

リヴァイはそんなハンジを睨んで右から来たおっさんのほうに立体起動で飛んで行った。


「なら早よコイツら蹴散さんかい!」


右の2体はリヴァイが、左の2体は残るリヴァイ班が蹴散らし、ヤバイおっさんのもとに戻ったリヴァイ班一同は、未だに話しかけながら逃げ続けるハンジに呆れた視線を送った。

その時、突然暴れだしたヤバイおっさんにイヴが捕まれてしまった。


「きゃあぁあっ!!」


「イヴ!!」


ハンジは叫んだ。
そこにリヴァイが我慢できんくなりおっさんのうなじをガッサーいってもた。


「ちっ!!」


「あぁ......披検体が......っ!」


嘆くハンジを尻目に、リヴァイは蒸気を噴き上げるおっさんの手の中で胸を撫で下ろしてるイヴに手を差し伸べた。

イヴはその手を恋する乙女の顔で受け取った。


「オイ、お前がチンタラしてるから部下が食われかけたんやぞ?! しかもイヴや!! 仲間の命よりもっさい研究の方が大事なんか?!」


「兵長っ......」


ハンジは地面に膝を付きながら申し訳なさそうな顔をした。


「それはほんま堪忍な......リヴァイはイヴを好いとるもんなぁ」


まさかのハンジの発言に、一同は目を丸くした。
中でもイヴはリヴァイの手を掴んで立ち上がりながら口を開けて固まった。

リヴァイはそんなイヴを見ながら表情一つ変えずに淡々と言った。


「そうや、コイツにかすり傷一つでもつけたらどつき回すどころじゃ済まへんからな」


「おっ! 認めたで!! 皆聞いた?! リヴァイがイヴのこと好きなんやって!」


「!!」


落ち込んどったハンジが急に立ち上がって騒ぎだした。

周りにおる一同は驚きと同時に唖然と固まった。

そんな中、未だにリヴァイの手を掴んで固まっとったイヴがやっと小さく声を出した。


「兵長、ほ......ほんまですか?」


「......アホ、何でわからんねん。好きやて言うてるねん」


リヴァイはそんなイヴの手をぎゅっと掴んで優しい顔で言った。


「兵長っ!! うちも好きです!!」


イヴはそんなリヴァイに抱きついた。


「あはははは!! めでたいなぁ!! 今日は帰ったらテッチリやで!」


皆が呆然とする中、ハンジはガッツポーズした。

それを見てモブリットは小さく苦笑いした。

リヴァイはそんなハンジを尻目に、イヴを抱き締めながらイヴの耳元で言った。


「ハンジのとこは危なすぎるわ、今から俺の班に来い」


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょい待ち!! それはあかん!! イヴはうちの大事な部下や!」


それを聞き逃されへんかったハンジが片手を出してリヴァイに2、3歩近づいた。

リヴァイはそんなん気にもせんと抱き締めたままのイヴの頭を撫でながらペトラを横目で見た。


「ほな、ペトラをやる」


「へ、兵長?!」


ペトラはわけわからん言うような状態でショックを受けた。

ハンジは一瞬目を丸くした後、未だハグし続ける二人を見納めてペトラを見た。


「あぁ、それならええわ。ペトラ、よろしくな」


「そんな、アホな!! 兵長! うちを見捨てるんですか?!」


ペトラは必死で訴えた。

リヴァイはそれでも淡々と言った。


「しゃあないやろ、俺はイヴが好きなんや。お前ならハンジんとこでも十分やれる、俺はお前の腕を見込んで交換したんやで、ペトラ」


「兵長......! わかりました」


ペトラは自分の腕を見込まれてると鵜呑みして、少し頬を赤らめて承諾した。

そこにハンジがつっこんだ。


「つまりリヴァイはペトラに用はない、イヴがええって言いたいんやね」


「は? ちゃうしな......まぁそうやけど。まぁええわ、とりあえず捕獲は失敗や。また今度な、もうすぐ撤退するやろ......知らんけど」


リヴァイは一旦イヴを離して言った後、皆に背中を向けた。
それに着いてこいと言わんばかりにイヴの肩を抱いてイヴにも背中を向けさせた。

何やペトラはもう放心状態で固まってもた。


「へ、兵長! どうしはるんですか?!」


モブリットがその背中に向かって叫んだ。

リヴァイは顔だけ振り向いて淡々と言った。


「イヴと両思い発覚したんや、今からイチャこく。ハンジ、部下は任せた。邪魔したら許さんで」


「兵長っ!」



部下の叫びは虚しく、二人はそのまま廃墟に消えていった。


その場にはハンジの笑い声だけが静かに響いた。








終わり.




何か色々すみませんでしたm(__)m

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