短い夢

□手紙
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豪雨となった壁外調査


イヴを班長とする6名の班が5m級の3体の巨人に襲われた。

3名の部下を失いながら、イヴは何とか1体の巨人を討伐した。

残る2名の部下は他の2体と対峙しているが、1名は今にも喰われそうに手で捕まれていた。

イヴは部下を助けようとアンカーを刺すも、うなじにたどり着く前に部下は喰われてしまった。
とにかくブレードを刺すも、視界が悪かったせいか外してしまった。

さらに分が悪いことに足を滑らし、地面に着地した瞬間捻挫してしまった。

そして今にも捕まれそうな状況に、イヴは死を覚悟した。



すると突然2体の巨人が倒れ、蒸気を噴き上げた。


討伐してくれたのであろう、地面にしゃがみこむイヴの目の前に着地したその人物はリヴァイ兵士長だった。

彼はブレードを雨で洗うように振ったあと、華麗にしまった。

そして振り向き様に「無事か」と声をかけてくれた。



……豪雨に紛れて、涙が溢れた。





何とか一人だけ残った部下と共に、イヴは帰還後、救護室で手当てを受けた。


部下の方は右足の骨を折っており、1ヶ月の療養が必要とされた。

イヴは右足の軽い捻挫のみで済んだ。


何度謝っても償いきれない。
自分は部下を守れなかった……。


イヴはそんな罪悪感を胸に、少し痛む右足を引きずりながら救護室を出た。
すると外にはリヴァイ兵長が腕を組んで立っていた。
イヴは驚いて立ち止まった。

兵長は誰かを待っているのだろうか。
だが中には自分の部下である男兵士しかいないし、周りには誰か来る気配もない。
イヴはとりあえず礼を言うことにした。


「兵長、ありがとうございました。私は......


「罪悪感でいっぱいって面だな」


「!」


兵長が来てくれなかったら死んでました、と言おうとしたのを突然遮られ、しかもその通りのことを言われてイヴは肩を震わせて固まった。


「お前はあの状況でよくやった、お前は悪くない」


リヴァイはそんな固まるイヴを余所に淡々と言って、自室のある兵舎に向けて踵を返した。

イヴは素早く歩いていくリヴァイの背中を見て、心臓の鼓動が早くなるのを感じたと同時に咄嗟に頭を下げた。


まさか今の励ましの言葉を言うために、自分を待ってくれていたのか。


……何だか心が晴れた気がした。


イヴは頭を上げると、既に小さくなったリヴァイ兵長の背中に向かって声をあげた。


「リヴァイ兵長っ!!」


その声にリヴァイは少し肩を震わせ、ゆっくり振り向いた。

振り向いたリヴァイ兵長を見て、イヴは更に心臓の鼓動が早くなるのを感じながらも言った。


「ありがとうございます!」


イヴは声を大きくして言ったあと、さっきよりも深く頭を下げた。

リヴァイはそれを少し目を見開いて見届けたあと、イヴには届かない小さな声で「早く立ち直れ」と言って踵を返した。


イヴは頭を深く下げたまま、リヴァイが遠ざかっていくのを感じた。

それでも未だに高鳴る心臓は、リヴァイ兵長に対する恋心が芽生えていることを主張していた。


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