短い夢

□愛してるから
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いろんなことが一遍に起きた。


エレンは硬質化の力を手に入れ、
ヒストリアは王位につくことになった。

調査兵団にとって二つの希望が同時に叶えられた。


そんな中、リヴァイの育ての親、ケニーが死んだ。

ケニーは部下を殺したし、今までにもたくさんの人を殺めてきたのだろう。
それでも生きる力を与えてくれた人だったそいつは、自分の伯父であったことを最期に知った。

更に知る由もなかった姓を知った。



そんな感傷に浸る間もなく、忙しくヒストリアの戴冠式の準備が進む中、後片付けや報告を終えたリヴァイは兵舎の自室に戻って一息ついた。

ベッドに腰かけて部屋を見渡せば、埃が貯まっていてもおかしくないのに意外と綺麗だと思った。
久し振りに帰ってきたというのについさっき掃除したような部屋だ。

誰かが掃除してくれたというのか、
そうならば思い付くのは一人しかいなかった。
そういえば最近ちゃんと顔も見ていない。

リヴァイは重い腰を上げて部屋を出た。




「......イヴ、いるか」


自室から何歩か廊下を歩いたところにあるドアの前でリヴァイは立ち止まり、そのドアを軽く叩いて声をかけた。


「わっ......! はいっ! 入って」


バサバサと本が落ちる様な音とイヴの返事を聞いて、リヴァイは少し驚きながらもドアを開けて部屋に入った。


「おかえり」


部屋に入ると大量の書類を机から落としたのであろう、それを拾っているイヴが目に入った。
彼女はその手を止めることなくリヴァイを見て話した。


「戻ってこれたんだね。......ごめんね、書類が溜まってて。片付けるからベッドにでも座ってて」


人の部屋は綺麗に掃除しておいて、自分の部屋はこの有り様。
床を見ればある程度掃除してあるのはわかるが、いつもは閉まってあるはずのたたんではあるがベッドの上に置かれたままのシャツとズボン、その下にある倒れたブーツが忙しかったことを物語っていた。

書類を拾い終えたイヴはTシャツ1枚と膝下まである長くヒラヒラしたスカートの軽装でさらに裸足だ。

そういえば集中する時はいつも裸足になってたなと思いながら、リヴァイは言われた通りベッドに腰かけた。

拾い終えた書類をやっとまとめて机に置いたイヴを見て、リヴァイは話し始めた。


「俺の姓はアッカーマンらしい」


「アッカーマン?」


突然のことにイヴは目を丸くした。


「昔暮らしたことのあるケニー・アッカーマンは俺の伯父だった」


「!」


彼女とはもう何年の付き合いになるだろうか、互いに惹かれ合って性行為を重ねた仲だった。
気づけばイヴは分隊長になっていたし、104期生が入団してからは毎日が戦争のように過ぎていき、忙しくてゆっくり顔を見れることもなかった。

自分が姓を名乗らないのは、幼い頃に母親を亡くしたし、誰も教えてくれなかったから知らないというのは前に話していた。
いつも真剣に自分の話を受け入れてくれるだけでなく、気持ちのいい答えをくれるイヴにリヴァイは完全に心を許していた。

彼女はどうゆう反応をするだろう。

リヴァイは内心期待しながら、イヴが何か言うのを待った。


「リヴァイ・アッカーマン、か。いい名前だね」


イヴはリヴァイが腰かけているベッドに歩み寄り、隣に腰かけて彼の頭を撫でた。


「辛かったでしょう、お疲れ様」


「っ......」


これじゃあまるで母親に慰められてる子供のようだ。
それでもその行為と言葉にずっと抑えていた感情が溢れだしてきたのを感じた。
リヴァイはそれを制御できなくなり優しく撫でてきたイヴの手を掴んで、強引にベッドに押し倒してキスをした。

久し振りにするそれは優しくも強引で、感情を押し付けるように少し乱暴に舌を絡ませると同時に、脱がせやすいイヴのシャツを剥ぎ取り胸を直に揉んだ。

イヴはそうやって感情を押し付けるリヴァイの行為を、抵抗することなく受け入れた。


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