長い夢

□第一章 始まり
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「ハンジ、やめときなよ」


「大丈夫だって! ちょっと声かけるだけだよ!」


「もぅ」


リヴァイ達3人が異例の入団後、
彼らにとって初めてとなる壁外調査が始まった。

補給所について一息ついていたところ、初戦で圧倒的な強さを見せたリヴァイに興味を持ったから話しかけてくると言い出したハンジ。
同期で同じ班のイヴも興味は持ったがハンジのように話しかけようとは思わなかった。


イヴは幼い頃、診療所を経営していた両親を薬を狙って患者を装った盗賊達に殺された。
ボコボコにされたものの、両親から教わった医療技術でなんとか生き延びたイヴは人は簡単に信用しない、強くなきゃ生きていけないと悟った。

強くなるために入った訓練兵団、
そこでハンジに出会った。

好奇心旺盛というか、恐れを知らない彼女にはある意味感心したものだ。


躊躇うことなくヒラヒラと手を振ってリヴァイ達3人がいるところへ向かっていくハンジをイヴは心配そうに見送った。


「ちょっといいかな? やぁ見ていたよ! ......」


タイミングを見計らったのか、いきなり3人の目の前に立ち話しかけたハンジ。

何やら話しだしているのを少し離れたところでイヴは見守った。


案外あっさり話し出したリヴァイの声は小さくて聞こえにくかったけど、それに答えるハンジの言葉によると、どうやら彼らは立体起動を誰にも教わらずに独学で学んだらしい。


イヴはリヴァイに対し、不信感を抱いた。


(誰にも教わらずに立体起動を練習した?
そんなことありえるの?
まずどこで立体起動を手に入れたの?
どうして調査兵団に入ったの?
イザベルって子には慕われてるみたいだけど
まぁ、地下で暮らしてたんだったら盗賊みたいなことしてたのかな......
だから強いとか?
やっぱり、何か企んでそうで怖い人......)



「ははは、ただいまー! ん?イヴ、すっごい怖い顔してるよ」


イヴがいろいろ考えているとハンジが笑顔で戻ってきた。
どうやら会話が終了していることにも気づかない程考えていたらしい。イヴは顔を整えてハンジを見た。


「おかえり。何か収穫はあった?」


ハンジは他の班員に笑われながらイヴの隣にどすんと腰かけた。


「んーそれといった収穫はないけど、イヴが言うように危ない奴らじゃないと思うよ? 特にイザベルは可愛い子だよ」


確かにハンジの言うイザベルって子はただ兄貴と呼ぶリヴァイを慕って着いてきたって感じがした。
ハンジの洞察力は鋭いが、もし彼らを信用しろと言われるもんならそれは難しいとイヴは思った。


「どうかな、おかしいとこだらけだと思うけど......。何か企んでるのかもよ?」


「ははは! イヴは本当用心深いよね!」


ハンジは隣にある自分より小さなイヴの肩を笑いながら叩いた。


「はははー、ハンジの行動力と洞察力は尊敬するよ」


イヴは叩かれた肩を擦りながら苦笑いした。


とにかく今は3人にはあまり関わらず気にしないでおこう、イヴはそう思った。


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