◆刀剣・刀さにNL小説◆

□【長谷部】渇望と崇拝の口づけ
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 生真面目であまり表情を崩さない彼が、ときおり見せる破顔一笑。その爽やかな笑顔もまた、彼の愛しいところだった。

 日頃の振る舞いやそのプライドの高さから、いっそ高慢さや冷酷さすら感じさせる彼が垣間見せる、年相応に幼いあの表情もまた、審神者の心を惹きつけてやまなかった。

 手袋をはめ終えた長谷部は、改めて審神者に向き直ると。

「そこまでお寂しいのでしたら、今宵も参りますよ」

「えっ……?」

 審神者は驚きに瞳を見開く。しかし長谷部はそんな彼女を見つめたまま、言葉を重ねた。

「あなたがお望みなのでしたら、今宵も参ります」

 ――あなたを抱きに。美しい藤の瞳は雄弁にそう告げていた。

 長谷部は布団から身を起こしたばかりの審神者のもとにやってくると、彼女の前で片膝をついた。彼女のほっそりとした白い手を取って、その甲に口づける。

「愛しています」

 長谷部が改めて口にした言葉に、審神者は息を呑む。まさかそんなことを言ってもらえるなんて思わなかった。審神者の頬に熱が集まり、彼女は恥じらいに瞳を伏せる。

 敬愛する女性の前に跪き、彼女の手の甲に口づける。そんな西洋の騎士のような振る舞いも、カソック姿の長谷部なら様になる。

 こうべを垂れる彼の鈍色の前髪が流れ落ち、早朝の柔らかな薄明りを受けて艶めく。

『――愛しています。愛するあなたの願いなら、俺は何だって叶えてみせます』

 審神者の手の甲から唇を離したそのときに、長谷部が心の内で呟いた言葉が、その唇に乗ることはない。

 しかしそれでも、既に分かちがたい絆で結ばれている彼女には、長谷部のその想いは充分すぎるほど伝わっていた。

 そんな彼にかしずかれ、審神者は幸福に包まれながら、花のように笑った。









END




以下あとがきです。







あとがき




お疲れ様です。作者です。
お久しぶりの更新となってしまいすみません。
本当はもっと早く完成させてアップしたかったのですが、
なかなか作業時間が取れなかったり、パソコンが壊れて買い替えたり、
作業が予想以上に難航したり、パソコンが壊れて(略)でした。
パソコンなのですが電源が入らなくなったので、
中のデータは全てなくなってしまいました。つらいです……。

話を戻します。
刀ステの長谷部くんが、あまりにもイケメンかっこよかったために、
このたび長谷部沼にどっぷりとはまってしまいました。
Wくんの長谷部は最高ですね。最高のイケメンヘラでした。
光忠との殺陣も真剣必殺の半裸も、おはぎの宴も最高でした。
本番中の舞台上でおはぎを吹くイケメン俳優……。
最高すぎます。これは運命の恋に落ちるしかありません。
ご本人様のブログの長谷部くんのキャラ衣装の画像も全部保存して、
毎日にやにや眺めています。再演も楽しみですね。

さて今回。
そのようなわけ(?)で、長谷部くんのキャラ解釈はステに寄せています。
ステのイケメンヘラでヤンデレな長谷部くんとのR18でした。
いかがでしたでしょうか。
お話のテーマは禁断・共依存で、BGMはラルクのキスキスキス(XXX)です。
ラルクの楽曲もテーマが禁断の恋のようで、
歌詞にもエデンとか禁断の果実といった単語が出てきます。
とてもかっこいい曲なので、よろしければぜひ。

今回、力を入れた描写なのですが、69とヒロインの足へのキスです。
足の甲やつま先やふくらはぎへのキスってエロいですよね。
まさに服従と崇拝って感じでドキドキします。
69も今回初めて書いてみてとても新鮮でした。
あとは事後の明け方のシーンもお気に入りです。
「あなたを抱きに」もそうなんですが、
武装&カソック姿で片膝をついてヒロインの手の甲にキスするシーンも気に入っています。
騎士が王女に忠誠を誓うみたいなキスを、長谷部くんにやらせたかったのです。
最後の「『愛するあなたのためなら〜』長谷部の心中のつぶやきがその唇に乗ることはない」
なのですが、こちらは長谷部くんのキャラ紹介の
「(主の)一番であることを渇望しているが口にすることはない」をアレンジしました。
他にも原作ゲームの台詞など入れているので、ニヤリとして頂けたら嬉しいです。

原作ゲームの台詞といえば、軽傷の「っ……ハハッ」と「だからァ?」がすごく好きで
なので、今回のお話も長谷部くんが「ハハッ」と笑う描写を多く入れています。
長谷部くんは主に対してはいつもすごく丁寧だと思うんですけど、
ときどき粘着質で嫌味ったらしいところもあったりして、そこもすごく愛しいです。
あと個人的には、主に対する丁寧な態度よりも、
敵に対する酷薄な態度や破壊ボイスの口調や雰囲気が、
長谷部くんの素だと思っているので(個人の主観です)
このお話の長谷部くんも、酷薄さや冷たさや野卑さをときおり覗かせています。
あえてそういう風に書きましたので、そこもお楽しみ頂けたら嬉しいです。
いわゆる鬼畜敬語攻めというやつですね(笑)

キャラ解釈についてここまで色々と書きましたが、多少のこだわりはあるものの、
個人的には原作ゲームもステも花丸もどの長谷部くんも大好きです。
みんな違ってみんないいですよね。
かっこいいorかわいい長谷部くんなら、何でも美味しく頂けます。
花丸は公式同人誌だと思って楽しんでいます。織田組のEDも最高でした。
いつかミュージカルでもカッコよくてかわいい長谷部くんを、
見れたらいいなと思っています。

それでは長いお話とあとがきを、お読みくださりありがとうございました。
ではまた。


※小説部分、また後日多少修正するかもしれません。
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