◆薄〇鬼NL小説◆

□【SSL沖千】ロングアイランドアイスティー
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「千鶴ちゃん、これ本当に好きだよね」

 素直な彼女が可愛くて仕方がない。

「今夜は特別に、ここをたくさん良くしてあげる」

 沖田は千鶴の敏感な突起をぐりぐりと弄りながら、彼女の裂け目の中に差し入れていた指を揃えて、ゆっくりと抜き差しをし始めた。

「ああっ…… ああ…… 先輩っ……」

 千鶴が最も参ってしまう触れ方だ。そのやり方で沖田は容赦なく千鶴の秘部を責めたてる。

 最初は声を堪えていた千鶴だったが、沖田が抜き差しを次第に早くして突起を刺激する力を強めると、あっさりと陥落してしまった。

「ああっ、先輩……っ! すごくいいですっ……!」

 甘く震える声で沖田の腹部に頬をすりよせながら素直によがる千鶴に、沖田は勝ち誇った笑みを浮かべる。

「……千鶴ちゃん可愛い。もっとやらしいこと、言ってみてよ」

「えっ……」

「たとえば、気持ちいいからこのままイかせて、とかさ」

「先輩……」

「――ほら、言ってみて」

 わずかに低められた沖田の艶めいた囁きは不思議な力を持っていて、最中の千鶴をいとも簡単に操ってしまう。沖田に促されるまま、千鶴は彼に望まれた通りの言葉を口にしてしまった。

「すっごく気持ちいいから、このままイかせてくださいっ……!」

「……よく言えました。それじゃあ千鶴ちゃん、今からイってみようか?」

「イかせてください……! 総司先輩、お願いしますっ……!」

 沖田に大胆な言葉を口にさせられて、心理的な抵抗が薄れてしまったのか。千鶴は自分から卑猥な願いを叫んでしまう。

 控え目で恥ずかしがり屋の彼女が見せるあまりにも奔放な振る舞いに、沖田は一瞬面食らうが、すぐにいたずらっぽい笑みを浮かべると。

「すごいな…… こんなに大胆な君が見れるなんて…… 

これからするときはいつもお酒飲んでね。千鶴ちゃん」

 そこまで口にして、沖田は舌なめずりをすると。千鶴の裂け目に差し入れていた指をさらに増やした。

「――すぐによくしてあげるから、しっかり脚を広げたまま、大人しくしてるんだよ」

 快楽に潤んだ瞳で千鶴は小さく頷いた。彼女の細い脚がさらに大きく広げられ、千鶴の淫らな裂け目が、沖田の眼前により大胆に晒される。

 その眺めはまさに絶景だった。何本もの男の指をくわえて嬉しそうに蜜を溢れさせている千鶴の秘すべき裂け目は、ほんの少し嬲ってやれば、いとも容易く果ててしまいそうなほどに熟していて。

 突端の豆粒のような突起は充血し、さらなる刺激を求めるかのようにぷっくりと膨らんでいた。

 そして、沖田の予期した通り。彼にとっては子供だましのようなささやかな愛撫で、千鶴は甘い悲鳴をあげながら悦楽の頂点を迎えてしまった。



 とろりとした瞳で恍惚の余韻に浸る千鶴と身体の位置を入れ替えて、沖田は改めて彼女を組み敷く。

「……すっごく気持ちよさそうだったね。今まででイチバンだったんじゃない?」

 呆けた様子でベッドに寝そべる彼女を見おろしながら、沖田は千鶴の淫らさをからかった。

「それじゃあ今度はもっと気持ちよくなるために……。入れてみよっか」

 沖田はどこかから小さく丸いブリスターパックを取り出すと、手早く開封し中身を取り出す。千鶴の身体を守るために、沖田の肉の楔に装着する薄い皮膜だ。

「準備…… いいんですね……」

 彼の手際の良さに千鶴は思わず嫌味を口にしてしまう。

「そりゃあね。君と一緒にいるときはいつも、すぐに使えるようにしてるから」

「…………」

 そんなこと、今まで気づかなかった。

 高校二年の終わりからお付き合いをはじめてもう数年がたって、彼のことをよく知ったつもりでいたのに。こんなにもまだ、知らないことがある。つかみどころのないこの人の全てを知るなんて、なんだか永遠に不可能な気がする。

 深酒にかこつけて淫らな本能を剥き出しにした情事の、夢うつつの興奮のさなかに、千鶴はそんなことを空想した。

 その一方で、沖田は薄い皮膜を獰猛に猛った自身に装着しながら楽しげに笑う。

「……今日のは新しいやつなんだよ。いままでのよりずっと薄くて柔らかくて熱が伝わりやすいから、お互いの温もりも、もっとしっかり感じられるんだって……」

 そんなふうに水を向けられたら、そちらに注意を向けてしまう。千鶴は自分でも気づかぬうちに、薄い膜に包まれてゆく沖田のものをじっと見つめてしまっていた。

 大好きな彼の大好きな部分だ。充血しきった沖田の肉の楔は、裏側の筋が見えるほどに反り返って千鶴を誘惑してくる。千鶴は無意識のうちにごくりと喉を鳴らしていた。

 沖田はそんな彼女を見おろして酷薄な笑みを浮かべながら、改めて千鶴の両脚を広げさせる。

 千鶴の脚の間の小さな割れ目に逞しい肉の楔を宛がって、沖田は目当ての獲物に襲い掛かかる獣のように瞳に剣呑な輝きを宿すと。

「――それじゃあ、今から試してみよっか?」

 これから試すのは新しい避妊具の使い心地なのに。こんなにも野性味あふれる甘さのない視線を向けられたら、なんとなく悔しくなってしまう。

 千鶴は沖田に食って掛かった。大好きな彼に全てを征服される寸前の最後の抵抗。

「……どうせダメって言われても試すのに」

「……そりゃあね、言ったでしょ? 『ダメ』じゃやめてあげられないって」

 そのまま一息に、沖田は千鶴の中に入り込む。



「あっ……! つっ……!」

 ひきつれたような痛みとすさまじい圧迫感に、千鶴はあえかな悲鳴を上げて眉を寄せた。いつもは千鶴をいたわって少しずつ入れてくれるのに、やはり今夜の沖田の様子はちょっとおかしい。いつも以上に意地悪な気がする。

 しかし、挿入の痛みは意外なほどにすぐ引いていった。先ほど飲んだお酒のせいだろうか。

けれどそのかわり、今夜の千鶴自身は浅ましいほどに沖田の肉の楔をきつく締めつけてしまっていた。これでは千鶴が沖田に食べられているのではなく、沖田が千鶴に食べられているみたいだ。

「っは…… 千鶴ちゃんキツすぎ…… 今日感じすぎでしょ……」

「だって…… 先輩が……」

 これほどまでに良くなってしまうのは、アルコールのせいなのか。それとも非日常の雰囲気にのまれているだけなのか。

 避妊具を新しくしたなんて聞かされてしまったせいで、千鶴の意識は嫌でも挿入されている沖田自身に集中してしまう。いつも以上に硬く張り詰めていて、自分の最奥にまでごりごりとぶつかってくる彼の肉の楔に。

「っは、これじゃすぐに出ちゃいそう…… カッコ悪いよね」

「そんなこと…… ないです…… 先輩は……」

「……総司って、呼んで」

「えっ……」

「してるときの甘い声で君に名前、呼ばれたい」

「……っ、……総司さん」

「よくできました」

 呼吸を乱し、額に汗を浮かべて余裕を無くしながらも、沖田は瞳を細めて不敵に微笑む。その笑みのあまりの色気に千鶴の心臓がぎゅっと掴まれ、下腹部がより切なく疼いてしまう。

 こんな笑みを向けられてしまったら、もうどうしようもない。

「ねぇ千鶴ちゃん……。今日はせっかく全てをお酒のせいにできるんだし……。君をめちゃくちゃにしてもいい?」

「っ!」

「もちろん君も、僕をめちゃくちゃにしていいから」

「……ずるいです」

「……え?」

「総司さんは、私が断れないのわかってて……」

 千鶴は泣き出してしまいそうな顔で沖田を見上げる。愛の営みのさなかに、彼を突き放すなんてできないから。千鶴は何をされても許してしまう。だから、今だって『ダメ』としか言えない。『ダメじゃやめてあげられない』って言われているのに。

 きっと相手が沖田なら何をされても、千鶴は受け入れてしまうのだろう。たとえ泣かされても、その身体と心に消えない傷をつけられても……。

 愛しい恋人にそんなふうに責められても、しかし沖田は淡々としていた。

「……どうだろうね? それを言うなら君の方こそ、僕をだめにした責任を取ってよ」

 しかし、その直後に紡がれたのは、一転してあまりにも情熱的な愛の囁きだった。

「――君がいなきゃだめなんだ……。僕は、もう……」

 泣きそうに潤んだ緑の瞳のあまりの美しさと切なさに、千鶴は呼吸を忘れてしまう。捨てられた幼い子供のような寂しげで苦しそうなその表情。こんな顔をされて放っておけるはずがない。……また、彼に囚われてしまった。

「総司さん……」

「……千鶴、好きだよ。愛してる」

「私もです…… 総司さん……」

 涙すら武器にして、ずるい人だと思う。けれど、この嘘か本当かわからないずるさや意地悪も含めて彼だから。今までもこれからも、千鶴はそのすべてを愛し続けるのだ。まるで永遠の虜囚のように。



***



 全てを終えてから。沖田は千鶴を腕に抱きながら夢を見ていた。情後の気怠さや浅い眠りの中で見る夢はいつも同じものだ。百代の昔、死病に苦しみ運命に翻弄されながらも、彼女と懸命に未来を掴もうとしていたころの夢……。

 ――たとえいつか離れる時が来ても。僕の心は永遠に君のものだよ。ねぇ千鶴、君の気持ちを言葉で聞かせて?

 ――私も、同じですよ。私の心も総司さんのものです。永遠に……

 幸福な記憶だ。けれどそれにはいつも儚さがつきまとう。やがていつかは壊れてしまう砂糖菓子のような。けれど、今は違う。

(……約束するよ、千鶴ちゃん。今度こそ、僕はずっと君のそばにいるから。いつか遠い未来に迎える、最期の瞬間までね)

 その密やかな誓いはずっと秘密のままに、沖田の胸の内にある。



 そして、どれくらい経っただろうか。千鶴が意識がゆっくりと浮上する。

「っ…… 総司さん……?」

「……あれ、起きたんだ。身体は大丈夫?」

「はい……」

「ところで、千鶴ちゃん、君はもう外でお酒飲むの禁止ね」

 ようやく目覚めた恋人に、沖田はしっかりと釘を刺す。

「っ、すみません……」

 自分のしでかしたことを思い出したのか、千鶴は恐縮しきりだ。けれど……。

「謝らなくていいよ。僕と一緒の時は飲んでもいいし、むしろたくさん飲んで欲しい」

「え?」

 妙なことを言い出す沖田に、千鶴はつい怪訝な顔をしてしまう。しかし、そんな彼女を置き去りに。沖田は穏やかに続けた。

「でも、僕がいないところで飲むのはダメ。君はとっても可愛いから心配になるんだ」

「総司さん……」

「わかった? 約束」

 沖田に小指を差し出されて、そのまま二人は指切りをした。

「はい……」

 大人顔負けの愛の行為を終えてそのまま眠ったから、二人ともまだ裸なのに。ベッドの上でまるで幼い子供のような指切りげんまん。けれどそれが、なんだかとても沖田らしくて。千鶴は吹き出すように笑ってしまう。

 悪戯っ子で甘え上手なひとつ年上の彼からは、まだまだ離れられそうにない。
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