◆薄〇鬼NL小説◆

□【SSL原千】悪い子になっちゃう?
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「ったく…… 別に仕置きはしねぇが、その代わり今夜はいつも以上にカラダ張ってもらうからな」

「っ、左之助さん……! も、沖田先輩のバ……っ!」

「――おっと。その名前、今は聞きたくねぇな」

 その瞬間、千鶴の頬に原田の大きな手が添えられて。気がついたときには、唇が重ねられていた。

「……っ!!」

 千鶴は驚きに目を見張る。不意打ちの強引な口づけは原田の十八番だ。彼が唯一知っているという、女の子を黙らせる方法。

 容赦なく舌を入れられて、千鶴は唇だけでなく呼吸まで原田に奪われてしまう。いやらしい水音がするほどに深い口づけの甘さと酸素不足で、千鶴は軽い眩暈に襲われる。

 さすがにつらくて原田から逃れようとするものの、やはり逃がしてもらえずに。

 仕方なく千鶴は原田の口づけに応えた。口内で舌を絡めながら、遠慮がちに原田の腰あたりに手を回し、さらなる愛撫をせがむ。

 そんな彼女にようやく溜飲を下げたのか、原田の拘束がにわかに緩まり。やがてどちらからともなく唇を離した。千鶴は生理的な涙で潤んだ瞳を原田に向けながら。

「あの…… 原田先生……」

「……左之助、だ」

「っ……!」

 もう何度目かのやり取りのあと。離された唇はまたすぐに重なり、原田は千鶴のトップスの裾から大きな手のひらを滑りこませてくる。

 相変わらずの手の早さだ。柔らかな素肌を原田に丹念に弄られながら、ついに観念した千鶴の脳裏によぎるのは、浅ましくも甘い期待だった。

 ヤキモチを妬いた彼にひどいことをされるというのも、これはこれでひとつの立派な乙女の夢で……。

「――よそ見してんじゃねぇよ。お前は俺だけ見てりゃいいんだ――」

 耳元で囁かれた憧れの台詞は、溶けそうなほどに甘く。他の男の子とのやりとりを責められて、釘を刺されているはずなのに、なんだかいつも以上にかわいがられて、愛されているような気がしてしまって。

(……左之助さんはずるい……)

 もう何度となく心の内でつぶやいた言葉を千鶴は改めて反芻する。こんなふうにどこまでも甘やかされてしまったら。

(本当に左之助さん以外、何も見えなくなっちゃいます……)

 気がつくと千鶴はベッドの上に押し倒されて、トップスのボタンを外されていた。きっと今日はこのまま最後までされてしまうんだろう。

 そう感じた千鶴は行為を進めようとする原田にお願いをした。

「あの、左之助さん…… 電気消してくれませんか……?」

「……今日は駄目だ」

 千鶴のささやかな希望は、しかしあっさりと却下される。普段はちゃんと常夜灯にしてくれるのに。

「今夜はこのまま最後まで付き合ってもらうぜ? 千鶴」

 明るく点った室内灯を背に、原田はこれ以上ないほど楽しげな笑みを浮かべる。ニンマリとした、どこか子供っぽい……。

 けれど、そんなヤンチャな原田にすっかりやられてしまっている千鶴は、頬を淡く染めて彼の望み通りの答えを返した。

「はい、わかりました……」

 消え入りそうな小さな囁き。しかしそんな千鶴の返答に、原田はもう何度目かの同じ台詞を口にする。

「――よし、いい子だ」

 いかにも学校の先生らしいその言葉は、甘やかな期待に囚われる千鶴の身体の中心をとろりと潤してゆく。



***



 明るい中で最後まで。先ほどは半ば勢いでわかりましたと口にしたものの、やはり恥ずかしくて仕方がない。

 寝室の明かりとはいえLEDの室内灯は直視すればかなり眩しく、怖気づいてしまった千鶴はおずおずと原田に尋ねかける。

「……あの、左之助さん」

「……何だ?」

「やっぱり、電気を消してもらえませんか……?」

 恥ずかしくて仕方がないです。とつぶやく千鶴に原田は仕方がなさそうに息を吐く。

「……ったく、やっぱりそうなるのかよ」

 原田の返しに、千鶴は消灯してもらえるのかと希望を持つが。

「……消してやってもいいが、まだだ」

「っ!」

「もうちょっとだけ、堪能させろよ」

「お前が全部脱いで裸になったところ、明るい中でちゃんと見てぇんだよ」

 愛おしげに千鶴の頬を撫でながら、琥珀色の瞳を細める原田に、千鶴は真っ赤になってしまう。

「っ、左之助さん……!」

 恥ずかしくて仕方ないけど、愛する彼に自分自身を求められるのはやはり嬉しかった。

「明るい中でお前の裸の身体を眺めて……。満足したら、ちゃんと消してやるさ」

「っ」

「ま、満足って」

 してくれるのかな? この手の欲望に関しては足るを知らない原田に、千鶴は不安になってしまうが。しかし、千鶴が戸惑っているうちに彼女の衣服に原田の手がかかる。

 ベッドの上での原田はとても強情で容赦がない。そんな原田の手によってあっさりと、千鶴は一糸まとわぬ姿にされてしまう

「……綺麗だぜ、千鶴……」

 千鶴の裸身を見おろしながら、原田は恍惚に浸った様子でつぶやいた。

 琥珀の瞳を溶かしながら、眩しそうに愛おしそうに、原田はありったけの賛美を捧げてくる。

「……真っ白で雪みてぇだ。このままずっと、こうやって眺めてたいくらいだぜ」

 自分でも大したことのないと思っている身体を、彼に褒めてもらえるのは過分の幸福だ。しかし、込み上げる羞恥には抗えず、千鶴は素直な気持ちを吐露してしまう。

「左之助さん……。恥ずかしいです」

「はは、だろうな。……でも、隠すんじゃねぇぞ」

 彼女の裸身から目を離さずに原田は苦笑するが、やはり体を隠すことは許さない。

 千鶴ははいとだけ答えると、恥ずかしい気持ちを紛らわせるように、両の手でシーツをきゅっと掴んだ。一糸まとわぬ身体を改めて彼の前に晒す。

 ようやく観念したらしい千鶴に満足げな笑みを浮かべてから、原田は千鶴の体中に視線を這わせた。

 枕の上に広がった長い髪に、可愛らしい恥じらう表情。無防備に晒されたふたつの丸い膨らみにその先端。原田の視線はそこから薄い腹部を通り過ぎ、脚の間の淡い下生えに辿り着く。

 原田はまるで美しい絵画を愛でているときのような、恍惚と敬愛のこもった瞳で千鶴の裸身を眺めていた。けれどその瞳には確かな欲望が含まれていて、千鶴はあまりの恥ずかしさに次第に呼吸を乱してしまう。

 明るい中で愛しい男性に自分の裸を鑑賞されるというのは、まだ男女の愛の営みを知ったばかりの千鶴にとって、ほぼ初めての経験だった。

 見つめられているだけで、触れられていないのに。一糸まとわぬ身体の全てを原田の手のひらで愛撫されている錯覚を覚えてしまって。千鶴はいつしか彼の視線だけで浅ましい興奮を呼び起こされていた。

 恥ずかしくて仕方がないけど、眩しいほどの明かりの点った室内で、原田に視線だけで愛されるのは不思議なほどに心地よく、千鶴の下腹部の奥まった場所に小さな熱が生まれてくる。

 それがなんだかむず痒くて、千鶴は太腿をもじもじと擦り合わせるが、彼女がそんな仕草をしても原田は見つめるのをやめない。強い視線を向けたまま。

 今宵の彼はどことなくサディスティックだ。そしていつも以上に情熱的だった。



 実際は見つめられているだけ。けれど、脚の間の下生えを原田の指先にくすぐられた気がして、千鶴は小さく息を呑む。

「っ……!」

 千鶴は瞳を閉じたまま、込み上げる羞恥と快感に耐えるが、太腿をこすり合わせるのはやめられない。頬を染めて熱い吐息を漏らしながら、両足をもぞもぞとさせていた。

 今の千鶴の姿は、原田の目にはまるで淫らな一人遊び……自慰に耽っているように見えていた。

 正確には自分を慰めたいけど叶わずに堪えている姿なのだが、ここまでわかりやすければ、もうどちらでも同じだった。

 視線だけですっかり参っている千鶴を見おろして、原田はやれやれといった様子で苦笑する。

「……おいおい、俺はまだ指一本も触れちゃいねぇぜ?」

 あからさまに揶揄してくる原田に追い詰められた千鶴は、どうしていいかわからずに泣きそうになってしまう。

「っ、左之助さんの意地悪……」

 まだ触ってない。原田のその言葉は本当なのに、さきほどからずっと、脚の間の下生えを原田に触れられているような気がして仕方がない。

 それが苦しくて、もどかしくて。まさにそのことを原田にからかわれているのに、その彼の眼前で自慰まがいの行為を続けてしまう。

「はあっ…… んんっ」

 恥ずかしいのに、頭ではやめなきゃいけないとわかっているのに。もうたまらなくなってしまった千鶴は、太腿を使った自慰から抜け出せなくなっていた。

(もうダメ…… もう我慢できない……)

 ついにこらえきれなくなった千鶴は瞳に涙を浮かべながら、先ほどからずっと物欲しそうに疼いている、自身の秘部に手を伸ばした。

 しかし、それを見逃す原田ではない。

「こら、自分でするのは禁止だぜ?」 

 甘く優しい囁きで、原田は千鶴の手を止めてしまう。その様子はまるで可愛がっている愛犬に、いたずらにおあずけを強いて遊ぶ飼い主のようだ。

「……っ、でも」

「せっかく二人でいるんだぜ? 自分で慰めちまうんじゃなくて、俺に頼って甘えてくれよ、千鶴」

「……っ!」

 ことさらに甘い原田の囁きに、千鶴は息を呑む。そんな彼女に原田はまるで畳みかけるように続けた。

「こういうときは、男に頼っていいもんなんだぜ。ほら、ちゃんと俺に甘えて…… お願いしてみな?」

 追い詰められた千鶴にとって、それはあまりにも甘美な誘惑だった。

 原田の視線での愛撫によって、身の内の浅ましい欲求を呼び起こされていた千鶴は、彼に促されるまま素直な本心を口にしてしまう。

「身体…… 触ってください…… 左之助さん……」

 淫らに火照る身体を持て余した千鶴は、まるで救いを求めるように原田に愛撫を願ってくる。そんな彼女を見おろしながら、原田は口の端を上げた。

 またひとつ彼女を征服した。無防備な裸身に愛欲の楔を打ち込んで、自分という男の愛と欲望を刻みつけてやったような、そんな気持ちになる。

「ったく、仕方ねぇな」

 やれやれといった態度とは裏腹に、原田の表情はやはり楽しげだ。上機嫌で千鶴の素肌に手のひらを滑らせる。



 千鶴の願い通りに、原田は彼女の裸身を撫でてやっていた。

 室内灯をつけたままの寝室で、原田の愛撫を受けながら恍惚に浸った様子で喘ぐ千鶴は、無防備な自分自身の全てを、原田に見届けられていることに気づかない。

 瞳を閉じたまま荒い呼吸を繰り返し、甘やかに身悶えていた。

 そんな千鶴の可憐な姿を楽しみながら、原田は彼女をさらなる高みにいざなうべく、愛の行為を進めていった。

 千鶴のきめの細かいしっとりとした素肌に、原田の大きな手のひらがくまなく滑らされてゆく。

 千鶴は原田の愛撫によって、ただひとり悦楽の高みに昇っていった。

 その息遣いはさらに乱れ、喘ぎはさらなる甘さを帯び、自身の秘すべき場所を淫らに色づかせた千鶴の姿は、今まさに密やかに咲かんとしている可憐な花のようだった。

 ただ触れられているだけなのに、千鶴のこの乱れようは原田にとって予想外のことだった。行為を始めたばかりの今からこの調子では、最後にはどうなってしまうのか。

 原田は苦笑するが、この先への期待が膨らみ、下腹部にさらなる熱を集めてしまう。今夜はいつも以上に楽しくなりそうだ。

 心地よさそうに身悶える千鶴にあてられてしまった原田は、すっかり浅ましい加虐心が呼び起こされていた。

 可愛くて仕方がない彼女を、今夜はめちゃくちゃにしてやりたい。淫らに苛め抜いて、困らせて、これ以上ないほどによがらせてやりたくなった。

 千鶴の裸身をすみずみまで撫でてやってから、原田は改めて彼女に尋ねる。

「……気持ちよかったか?」

「……よかったです」

 快楽に潤んだ瞳で原田を見つめながら、千鶴は口を開いた。原田もまたそんな彼女に微笑み返して。

「……次はどうして欲しい?」

「……もう一度、触って欲しいです」

 素直な返答はすぐに返ってきた。原田は口もとに笑みを湛えたまま。

「……どこがいいんだ?」

「あの…… ここを……」

 原田の手のひらを千鶴は自分の胸の頂きに導く。

「……千鶴は正直だな」

 原田は瞳を細めると、ぷっくりとたちあがった千鶴の胸の飾りをピンと爪で弾いた。

「きゃっ……!」

 まさかそんなことをされるとは思わず、千鶴はびくりと身体を竦めてしまう。

「……悪いな、欲しがってばかりの悪い子に、ちっと仕置きがしたくなったんだ」

「えっ……!?」
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