◆薄〇鬼NL小説◆

□【SSL原千】CANDY NIGHT
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「……俺のシャツ着てくれたんだな。似合ってるぜ。薄桜学園でお前の担任してたときに着てたやつだな」

 原田は千鶴を逞しい腕に抱いたまま、本日の彼女の服装を褒める。逢瀬の最初のよくあるやりとりだ。しかし原田は狙ってやっているわけではなく、あくまで本心として口にする。

「……やっぱりそうなんですね」

 千鶴は改めて着ているシャツに視線を落とすと、感慨深そうな様子でじっと見つめる。

「ああ、昔のやつでもう着ないからしまっといたんだが……。今日は着たまましてみるか」

「……着たままですか?」

「ああ、前のボタンは全部あけさせてもらうがな」

 言うが早いか、原田は千鶴のシャツのボタンを慣れた様子で外していく。あっと思う間もなくシャツの前は全て開けられ、千鶴の両胸と色づいた突端が原田の眼前に晒される。

 しかし、千鶴はショーツだけは身に着けていた。淡い色の繊細なレースが飾られた面積の少ない薄手のもの。それを目にした彼は少し残念そうな顔をする。

「やっぱり、下は履いてるんだな」 

 たとえ面積が少なくとも、男としては履いているより履いていない方がそそられるようで、原田もまた素直な本音を口にする。

「別に履いてなくてもよかったんだぜ? どうせすぐ脱がすんだから」

「も、左之助さん」

 せっかく選んだ下着をそんなふうに言われて、千鶴は顔をしかめる。

「お前だって汚したら嫌だろ、ほら」

 何が「ほら」なのか。気遣いなのか催促なのかもわからない原田の言葉にに、千鶴は戸惑ってしまう。恥ずかしくても脱がないといけないのはわかる。だけど……。

「でっ、でも」

 千鶴はいまだに明るく灯ったままの天井の照明に、ちらりと視線をやる。

「そ、その前に…… 電気を消してもらえませんか」

 千鶴にそう促され、原田はそういえばそうだったといった顔をする。

「こればっかりは…… 仕方ねぇな」

 若干不服そうにしながらも、原田は千鶴の願い通りに部屋の電気を消してやる。オレンジの優しい光を放つ常夜灯のみにした。全部消さないのは、千鶴の感じている姿や裸の身体を見たいからだ。

「……ほら消したぜ。脱いでくれよ」

 これでもう、後戻りできない。恥ずかしさで余裕をなくしながらも千鶴は小さく頷いて、原田の目の前で腰を浮かし、そのままショーツをそっと下ろした。

 頼りなく儚げなそれは、いとも容易く千鶴の足からするりと抜けて、シーツの上に置かれたが。原田の手によってすぐにベッドの下に落とされる。

「っ……!」

 千鶴はまるで命綱を取り上げられたような、心細い気持ちになる。いつも優しい原田だが、ベッドの上では意地悪な面も覗かせる。

 男の人によくある、好きな女の子への意地悪やからかい。今だってとても楽しそうに、あえて千鶴を追い詰めていた。



 室内とはいえ、空気に直接肌を晒すと特有の解放感が訪れる。戒めから解き放たれたかのようなスースーとしたもの。けれどやはり原田の前で、裸同然の無防備な姿でいるのは心もとなく、千鶴はそわそわとした不安な気持ちになってしまう。

 自分は裸の身体に前を全て開けたワイシャツを羽織っているだけで、胸のふくらみもその先端も、局部の下生えまで原田の眼前に晒しているのに。しかし原田の方はといえば、上半身は脱いでいるけど下はジャージの長ズボン。

「あの…… さ、左之助さん」

「何だよ」

 原田は妙に上機嫌だ。明らかに状況を楽しんでいる。今も千鶴が何を言いたいかなんてわかっているのに、あえて言わせようとしていた。

「左之助さんも…… その…… 脱いでください」

「じゃあ、お前が脱がせてくれよ」

 ほら、と原田は自分の下腹部を指さす。一文字に入ったお腹の傷のすぐ下、蝶結びにされたジャージのズボンの腰ひものあたり。

 けれど、そう言われても。千鶴に手を伸ばす勇気などあるわけもなく。いつまでも躊躇っている彼女に待ちくたびれてしまったのか、原田は彼女の手を取ると強引に、自分のその場所に押し当てた。そう。ズボンの腰ひもではなく、下着の向こうで硬く猛った原田自身に。

「っ、きゃっ……!」

 急にそんなことをされてしまって、千鶴は驚きに小さな悲鳴を上げてしまう。反射的に手を引っ込めて、千鶴は涙目で原田を睨みつけた。

「ちょっ 何ですかいきなり……!」

 しかしながら柳に風だ。原田は相変わらず楽しそうに笑っている。

「いいだろ。したくなったんだよ」

「っ〜〜〜!」

 自分は真面目に怒っているのに、少しも堪えた様子のない原田に、千鶴は唇を噛む。なんだか悔しい。自分はこの人にいつも軽くあしらわれてばかりだ。

 しかし原田はそんな千鶴を見つめながら、不意に琥珀色の瞳を細めると。

「……お前は本当にかわいいよな」

 意外なほどに真面目な様子で囁かれ、千鶴は戸惑う。

「え……っ?」

 けれど彼はすぐに先ほどのふざけた調子に戻ると。

「それで、脱がしてくれるんだろ?」

「えっ…?! で、でも」

 しかし千鶴は困った様子で眉を寄せる。やはり彼女にはまだ難しいようだ。

「じゃあ、ズボンだけでいいぜ」

 仕方なく原田は引いたふりをする。とはいえ、単にハードルを下げただけだ。ズボンだけでも千鶴にやらせようとする。

「わ、わかりました」

 とはいえ、千鶴にしてみれば心理的な負担が大幅に減ったようなものだ。覚悟を決めた様子で息を呑むと、千鶴は気恥ずかしさに震える指先で、原田のジャージのズボンの腰ひもを摘まんだ。

 ゆるく蝶結びしてあるだけの白い紐は、ほんの少し引っ張っただけでするりと解けた。いよいよだ。緊張に身体を固くしながらも、千鶴は原田のズボンのウエストに手をかけ、そのまま引き下ろした。

 そのあとは原田が自分でしてくれた。黒一色のぴったりしたボクサーパンツ。学校の体育の先生としてスポーツを日常的にしている彼らしい動きやすそうなもの。

 けれどぴったりとしているぶん、彼の脚の間のものの様子もすぐにわかってしまう。薄手でフィットした下着は硬く充血した彼自身の形状をしっかりと拾っていて、千鶴の頬に熱が集まる。

 先ほど強引に触らされたから、どうなっているのかは知っていたけど、いざ目の前に晒されてしまうと、どうしていいのかわからない。なぜか目が離せなくなって、じっと見つめてしまう。すると、不意に原田が喉を鳴らして笑った。

「……何だ、そんなに興味があるのか?」

 からかうような口ぶりに、千鶴はハッと我に返るがもう遅い。

「それなら、今日は口でしてもらうとするか」

 すっかり彼を焚きつけてしまった。

「えっ、でも……!」

 千鶴は戸惑うが、原田はあっさりと下着を脱ぎ捨ててしまう。今度こそ本当に、彼自身のものが一糸まとわぬ姿で千鶴の目の前に晒された。しっかりと血が通い、より太く硬くなって先端が天を向いている、雄々しさそのものの姿。

 千鶴は無意識のうちに喉を鳴らして小さな胸をときめかせながらも、脚の間の可憐なつぼみを切なく疼かせてしまう。

「つけちまったら、出来なくなるだろ? だからその前にな。……ほら、してくれよ。千鶴」

 原田に腕を引かれて、千鶴は彼の下腹部に強引に顔を埋めさせられる。

「っ、左之助さ……」

 さすがに心の準備が出来ていない。千鶴はためらうが原田はやめるつもりはないらしく、容赦なく彼女の口元に自分自身の先端を差し出してくる。

 つるりとした赤黒い突端。自分にはない男の人の特有の部分だ。どことなくグロテスクで、けれど何だか愛おしくも思える。これを口に入れるなんて……。

 すっかり怯んでしまった千鶴は、戸惑いに瞳を揺らし睫毛を伏せるが。しかし原田は、よほど早くしてほしいのか、大きな手のひらを千鶴の首の後ろに回し、がっちりと固定してしまう。今度こそ本当に。口元に差し出されている原田のものから、千鶴は逃れられなくなってしまった。

(……どうしよう)

 鼓動が早鐘を打つ。千鶴は緊張に息を詰めるが、やはりどうあっても、千鶴に口でさせたいらしい原田は、艶めいた低い声で千鶴に囁きかけてきた。

「――自分からじゃ出来ねぇんなら、俺が入れてやってもいいんだぜ?」

「っ!」

 彼にここまで言われて、ようやく原田の本気を悟った千鶴は、観念した様子で瞳を伏せた。

「……わかりました。……入れてください」

 羞恥に震える唇でそう答えて、千鶴はおそるおそるといった様子で大きく口を開いた。

 原田に求められたから渋々そうしているだけなのに。恥ずかしそうに頬を染めながら瞳を伏せて、原田のものを求めて口を開けている千鶴は、まさに男の肉棒を求めて口を開けている可愛らしい裸の少女そのもので、原田の興奮はますます高まる。

 愛しい千鶴にそんなふうにねだられてしまえば、いかに年かさの原田といえども冷静さを失ってしまう。無意識に呼吸を荒くしながら、原田は目を眇めて口の端を上げて笑うと、千鶴の小さな口の中に自身の猛りをそっと差し入れた。

「っ…… んっ……」

 しっかりと充血した彼のものが、千鶴の口内にゆっくりと入り込んでゆく。歯を立ててしまわないように気をつけながら、千鶴は愛しい彼の分身を受け入れた。

「つっ…… ん」

 前にも何度か口でしたことはあった。けれどやはり原田のものはとても大きく、千鶴の口内はすぐにいっぱいになってしまう。苦しさを感じた千鶴のまなじりに涙が浮かぶが、それはすぐに原田の指先によって拭われる。

「……無理のない範囲でいいから、そのまましてみてくれねぇか?」

 ひときわ甘い彼の囁きは、まるで千鶴の理性を溶かそうとしているかのようだ。原田は泣きそうになっている千鶴をいたわるように、手の甲で千鶴の頬を撫でてやりながら、優しく彼女を促した。

「……裏筋を舐めて、境目も舐めて、強く吸ってみてくれ」

 千鶴に口淫の手ほどきをしてやりながら、羞恥と息苦しさに戸惑うばかりの彼女を、原田は少しずつ焚きつけてゆく。懸命に舐めて奉仕する千鶴の髪を撫で、心地いいと何度も伝え、上手くできたらしっかりと褒めてやる。

 当初は恥じらいと遠慮でただ口に含むだけだった千鶴の愛撫は、原田に何度も促され、今やすっかり深く濃厚なものになっていた。

 幼げな容姿とは裏腹に意外と肝の据わったところのある千鶴は、このような大胆で破廉恥なことでも、原田に搦手を使われてしまえばあっさりと受け入れてしまう。

 今や彼女は恍惚に浸った表情で、彼のものを根元近くまでくわえこみ、硬く猛ったそれを何度もきつく吸い上げていた。

 長い睫毛を伏せて、原田の下腹部の猛りに唇を寄せる千鶴の姿は、淫らでありながらも花々の蜜を吸う蝶のような可憐さで。原田は琥珀の瞳を溶かして、満ち足りた笑みを浮かべてしまう。

 無防備な裸の身体に男物のワイシャツ一枚を羽織って、幸福そうに口淫に耽る年下の恋人の愛らしい姿に、すっかり魅入られてしまっていた。控えめで清楚な恋人が見せるあまりにも大胆で淫らな一面に、身の内の欲望がさらに煽られてしまった原田は、再び千鶴の後頭部に手をやった。そして。

「……もっと奥までしてくれよ、千鶴」

 彼女が吸引をやめた瞬間を見計らい、原田は千鶴の首の後ろをぐっと前に押し込んだ。

「っ!!」

 今度こそ本当に、千鶴は喉の奥までまで原田の猛りをくわえこまされる。千鶴のまなじりに再度、涙が浮かぶ。

 当人の体格の良さに比例して逞しく存在感のある原田の肉の楔は、千鶴の小さな口内をこれ以上ないほどに満たし、今もこうやって押し込まれているだけなのに、千鶴は幸福のあまり快楽の頂点を迎えてしまいそうになっていた。

「んんっ…… っ……」

 眉を寄せながらも溶けそうな表情で、自分ひとり寸前の快楽に浸り、愛撫が疎かになっている千鶴を、原田は甘く叱りつける。

「ほら、いつまでもただくわえたままじゃ埒が明かねぇぜ。でもまあ俺としては、これはこれで悪くねえんだが」

 原田は改めて勃起した男のものをくわえながら、瞳を閉じて頬を染めている千鶴を見つめる。無防備な裸身に男物のワイシャツを羽織っただけの姿で、淫らな奉仕の虜となっている彼女の姿は、やはりたまらない可愛らしさで、これはこれでずっと眺めていたいようにも思えたが。やはり原田には男として先に進みたい気持ちがあった。

「このまま…… もう一度舐めたり吸ったり…… できるか?」
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