◆薄〇鬼NL小説◆
□【現パロ沖千】サンタ千鶴と沖田少年 聖夜の攻防戦
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一方その頃。沖田家で足止めされている三名の代わりに、プレゼントの配達している面々がいた。
「急ぎますよ、山崎君」
「何でこんなことに」
赤いサンタ服の山南と、トナカイの着ぐるみを着てソリを引いている山崎だ。
トナカイは重労働で本当はやりたくなかったが、山南の手に使い込まれたムチが握られているため、山崎は怖くて逆らえずにいた。
「仕方がないでしょう。あの沖田君がこの性夜に雪村君を離すわけありません。案の定遅れてしまいそうです。さあ早く」
「……」
山崎は無言で山南とプレゼントを乗せたソリをひく。
「原田先生たちの班も大慌てで配達しています。我々も急ぎましょう」
「はい……」
「次はええと風間家? ああ、ここは最後にしましょう面倒くさそうです。その次はお千さんと小鈴さん……。女性の部屋に忍び込むわけにはいきませんね、玄関前に置き配です。宅配ボックスを探してください。天霧さんに不知火さんは原田班の担当ですので……」
ムチを持っていない方の手の中の社用携帯の画面を見ながら、サンタ山南は山崎トナカイに指示を出す。
ふと気になることを思い出した山崎は、背後の山南に声をかけた。
「ところで井上さんに島田さんは今何を」
「土方くんたちのお世話ですよ。外出禁止の彼らの代わりに必要物資を手配しています。それが終わったら我々に合流ですね。全く困ったものです」
「そうですか……」
「さあ、時間もありません。張り切って参りますよ」
そこまで口にして山南はスマホをポケットにしまうと、かわりに血の色をした謎のドリンクを取り出して天に掲げた。まるで乾杯をするかのように。
「それではご唱和ください。メリー!」
「……クリスマース」
力なく拳を突き上げて山崎は山南のコールアンドレスポンスに応える。
山南はそのまま勢いをつけて手の中の緋色の魔剤を飲み干したが、別に羅刹化はしなかった。そう、これはただのエナジードリンク。幕府とは何の関係もありません。
こうして、何の生産性もない聖なる性なる夜は更けていったのだった。
この番組は会津藩の提供でお送りして、いません。
END