短編

□ここが何処か分かってる!?
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いつもと変わらない昼休み。
いや、いつもとは違うな。今日は俺、爆豪、切島、瀬呂、そんで爆豪の彼女であるミョウジでそれぞれ昼飯を持ってきていたということで教室で食うことになった。
いつもなら食堂のでかいテーブルに5人固まって食ってるけど教室ということもあって、みんな爆豪の席近くに集まって自分が持参した飯を食っている。
まぁ、なんで爆豪の席の近くかってーと、アイツが自分から俺らんとこ来て「飯食おうぜ」なんて言う訳がねぇし。
要するにアイツから動くわけがないから俺らが移動するしかないわけだ。
アイツはアイツでミョウジと2人で食いたいかも知れねぇけどそんなのは知ったこっちゃねぇ。リア充め。

「勝己、はい」
「おう」

そんなやり取りをして爆豪がミョウジから受け取ったのは弁当箱だった。
は!?
「おま、爆豪!彼女の手作り弁当とか羨ましすぎるだろ!!」
「あ、もしかして今までも何回か弁当持ってきてたけどそれもミョウジの手作りか?」
俺の叫びに続いて切島が問う。
それに答えたのはミョウジで、普通の顔でそうだよと言った。
羨ましすぎるぜ爆豪....。
「へぇ〜ミョウジって料理も出来んだなぁ」
瀬呂が感心した様に言えばミョウジは少し苦笑いしながらまだ色々勉強中なのだと言った。
「食べてもらうならやっぱり体にいい物にしたいしね」
「おい爆豪、聞いたか?お前想われてんな!」
切島がそう言うも爆豪は1度こちらに目線を寄越しただけでもくもくとミョウジの手作り弁当を食っていた。
「勝ち組の余裕.....」
何度も言うが、羨ましい...!!ちくしょー!!
「つか、俺たちも食おうぜ」
瀬呂の一声で俺と切島も先程から机の上に放置されたままの昼飯に手をつけた。
コンビニのおにぎりだってうまいから別にいいんだ....。


俺や切島、瀬呂、ミョウジ、時々爆豪で他愛もないことを話しながらそれぞれ空腹を満たしていると俺たちより一足早く食べ終わった爆豪がおい、とミョウジを呼んだ。
「こっち来い」
「え、うん」
こっち来い、とはなんだ?
爆豪の目の前にミョウジは座っていたのにそれ以上お前にミョウジってどうするんだなんて思いながら俺らは黙って2人を見つめた。
席を立ったミョウジが爆豪に近づいてそして、座った。

爆豪の座っている膝の上に。

それも爆豪の方を向いて座っているからお互い向き合った形になっている。
「は?」
思わず声が漏れた。
「いやいやいや!?」
待って!!それ、対面座位ってやつ!!
俺達3人が言葉もなくポカンとしていると爆豪の首にミョウジが腕を絡めて笑う。
「...なんでこっち向いてんだよ」
「えー、勝己はこっちのこと言ってると思ったんだけど」
「アホか」
「シてる時のこと思い出すでしょ」
「わざとかよ、犯すぞ」
お前ら俺達の存在忘れてね!?
何!?コイツら何なの!?
切島や瀬呂を見ると2人は少し頬を染めて気まずそうにしていた。
分かる、分かるぞお前たちの気持ち。
俺もどうしたらいいか分かんねぇ!!
「何言ってんの、ここ教室だからね?」
うん、そうだね。教室だね。
その教室で君たちは何の話をしてるんだろうね。
「行くぞ」
そう言って爆豪がミョウジの腕を掴んでドアに向かって歩いていった。
あ......。
俺たち3人の声が重なる。
えー.....ほんと何なの....アイツら。
「爆豪!授業までには帰ってこいよ...!」
明らかに動揺している切島が教室の外に出ていく爆豪に向かって叫んだ。
違う、そうじゃねぇよ切島。
お前のキャラだったらそこは止めるとこだ。
ピシャッと乱暴に閉められたドア。
それをしばらく見つめた俺達は我に返った。
「だあああああなんて羨ましいんだ爆豪ぉぉ....!!」
「いや、アイツまじでやんのか...」
「どうすんだよこの教室の空気....!」
切島の言葉に俺と瀬呂が周りを見渡せば教室は何とも言えない空気になっていた。
そりゃそうだな...!!
ていうか俺らがいけないことしたみたいな感じになってんの何で!?
2人のことに俺たちまで巻き込むんじゃねぇよ!

「TPOを考えてくれ!!!!」

そんな俺の叫びが教室中に響き渡った。
アイツらもう今日は戻って来ないでくれ頼む。
俺らだけでも食堂に行けば良かった。






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