Silver Soul dream


□疾風
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 約束の時刻には、まだ時間がある。しかし、私はそわそわと落ち着きがなく、仕事が手につかなかった。
 このところ仕事が立て込んでおり、恋人と会う時間が取れなかったのだ。
 だから、今日は久々の逢瀬。そのことについて不満を言うつもりはない。自分で選んだ真の道だから。
 しかし、会えなければ会えないほど、想いは募ってゆく。恋い焦がれてゆく。掻きむしりたいほどに胸は詰まり、苦しかった。
 触れる手を。響く声を。柔らかな瞳を。思い出す度に私の心は掻き乱され、溺れているかのように呼吸が上手くが出来ない。
 はあはあと息が上がり、体は火照った。頬が熱くなっているのが分かる。

「‥‥ぎんとき」

 吐息混じりに呟くが、火照りは治まらない。

 私は浴衣姿でフラフラと歩き出し、万事屋銀ちゃんへ向かった。

「またずいぶんと早かったなぁ。そんな銀さんに会いたかったか?」

 まだ一時間以上も早く訪れたのには面食らったようだったが、銀時もまた、嬉しそうな口調だ。
 しかしすぐさま切り替えて、ニヤニヤとしたいやらしい笑みを浮かべると、彼は私を店の中へ通した。

「神楽と新八は追い出してあっから‥‥」

 その先は、私が飲み込んでしまった。

「ん‥‥ちょ、真琴?」

 銀時はいつもと様子の違う私に、さすがに戸惑ったように声を掛けたが、私は構わずまた唇を押し付ける。

「ッ」

 すると、私がその気になっているのに気付いたのか、彼は角度を変え、さらに深く口が重なった。

「ん‥‥」

 互いの口内を味わうように舌を絡め合う。
 目をつむることはしなかった。とろけた視線が重なる。
 紅い目が私を貫くと、これから起こるであろうことに体がぶるりと震えた。
 それは銀時も同じなようで、こうして口付けている間も、彼の手が忙しなく背中や首元をまさぐっている。
 言葉は必要ではなかった。むしろあったなら、それは薄っぺらく、不確かだと感じたことだろう。

 人々の行き交う、活気のある音が聞こえる。
 大通りに面したこの玄関では、大きな音を立てれば漏れてしまうだろうし、一階の住人の大家が黙っていないはずだ。
 静かに、ゆっくりと。玄関で、互いにキスを奪って奪われて。
 
 もう我慢できない。

 銀時は少し強めに私の腕を引き、居間であり、彼の寝室である和室に私を招き入れた。
 和室には、用意周到なことに、既に布団が二組、敷かれている。
 しかもふかふかと暖かそうなそれは、どうやら事前に干されていたようだ。

 彼はいつも着ている流水柄の着流しを脱ぐと、掛け布団をはがし、敷布団の上に腰を下ろした。
 私もすぐ隣にぺたりと座り込み、体の熱を伝えるように銀時に体を擦り寄せる。
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