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□陽だまりの彼女 〜終わりの始まり〜
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『えっと........篠原です』

「結婚するつもりやから!」

「七瀬ねぇ?お父さんも私も反対してる訳じゃないのよ?けど、もう少し考えて動かないと、いくら昔からの友達の篠原君とはいえ....」

「健人やったら何がアカンの?昔から健人の事知ってるやんか!」

「でもねぇ....」










健人は七瀬と西野家の実家を訪れていた

七瀬が半ば強引に連れてきたのだが、七瀬の両親も突然のことに戸惑っており、健人本人も戸惑っていた








『やっぱり七瀬、突然すぎない?俺も急にそんな事言われたら....』

「何なん?ナナといたくないん?」

『いやそういう訳じゃなくて』

「もういい!知らん!」










七瀬はいじける形で自分が過ごしていた部屋に入っていった




『すいません突然訪問して』

「いやいや!良いのよ気にしないで!私も篠原君なら全然反対しないのよ?」

『何かありがとうございます』





七瀬の母親は昔から良い人だった。お父さんは元刑事なので、少々頑固な一面がある






「...........篠原健人君だね?ちょっと来なさい」

『え?あ、はい』

「お父さん!」

「大丈夫だ。変な事はせん」








そう言うと七瀬のお父さんは自分の家の庭に健人を連れ出した









「篠原君大きくなったね」

『あっ、どうも』

「昔から家に帰ってきたら七瀬はいつも篠原君の話をしていたよ」

『えっ?』

「ははっ。まぁ七瀬がいつも迷惑をかけたな」

『いえいえそんな!滅相もありません』

「........七瀬の事はどれくらい知ってるんだね?」

『え?プライベートな部分ですか?』

「いや、七瀬の生い立ちについてだ」

『それは........とりあえず中学2年の時に転校してきて、僕の後ろにいつも付いてきたことしか』

「そうか........七瀬は言わなかったのか」








七瀬のお父さんは神妙な面持ちで健人のことを見た




『あの?どういうことですか?』

「本当に結婚をするつもりはあるのかね?」

『えっと........はい』






健人は七瀬の突然の結婚の話に最初こそついていけなかったが、昔から七瀬が自分についてきてくれることに嫌になることはなかった





「実はね........七瀬には12歳までの記憶が無いんだ」

『え?』




そう言うと七瀬のお父さんは七瀬の生い立ちを説明し始めた
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