赤い糸

□episode 2
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掲示板の前は沢山の生徒達で埋め尽くされ、全く見る事が出来ない。何とか人を掻き分けクラスを確認し自分の教室へと足を運んだ。



教室に入ると生徒はまだ数人。私の席は一番奥の窓側。窓からはグラウンド全体がよく見える。
それにしても少し早く来すぎたみたいだ。なかなか生徒が教室に集まってこない。席に座りボーっと外を眺めていると誰かに声をかけられた。




「あれ?あなた見ない顔だけど…中学の時からいたったけ?」



声がした方に顔を向けるとポニーテールに結った髪が印象的な元気な女の子が私の机の前に立っていた。
だけど、あれだけの生徒がいる立海大の中から私が余所者と感じとるなんて…この子の観察力すごいのかも…。




「えっと…私、高校からこの学校に入ったの。」


「そうなんだ!でも、編入で入ってくるなんてすごいね!あ!あなた名前は?私は宮原 夏海。よかったら名前で呼んで欲しいな。これからよろしくね!」


「うん!こちらこそ!私は広瀬 結衣。私の事も名前で呼んでね。よろしく。」



知らない土地での学校生活で友達が出来るか不安だったけど、この子は明るくて良い子そう。仲良くやっていけたら良いな。





1日目は午前中で終わり。午後はそれぞれの部活やクラブのアピールタイム。廊下やグラウンド、体育館などで2年生や3年生が新入生に向けて勧誘をしていてる。午後はとても賑やかだ。
私も午後は特にやる事はなかったが、夏海が学校を案内してくれるというのでお願いする事にした。



学校中を案内してもらって思った事。それは、とにかく立海大はとても大きな学校だという事。私がいた中学とは比べ物にならないくらい。
得に驚いた事は図書室が大きくて本が充実している事だ。清潔感溢れる室内で勉強するにはもってこいの場所である。室内を見渡すと奥の窓の所で女子達が固まって外を眺めている姿が目に入ってきた。



「ねぇ、あそこで女子達が固まって外を眺めてるけど何か見えるの?」


「図書室の窓からテニスコートが見えるんだけど、ここから眺めてる人も多いのよね。」



テニスコートを眺めるなんて普通はない。何かあるんだろうか…?そんな疑問が過り彼女にその理由を聞いてみる。
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