赤い糸

□episode 1
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― 6年後 ―







「これで良し…っと!!ふふ…。ブレザー着たかったんだよねー!」




深緑色のブレザーに身を包み、鏡の前に立つ。新しい制服を着た自分の姿を前、後と眺め浮かれていた。





蓮二が引っ越してから6年の時が過ぎ、4月から私は高校1年生となる。







― 1ヵ月前 ―





3月。卒業の季節。
年々、桜の開花が早まり卒業式シーズンに花を咲かせていたが、今年は開花が遅く、まだ蕾の状態だった。




「ご卒業おめでとうございます」




そう。私は中学校生活を今日で終了する。




卒業生は最後の学ランとセーラー服をいつも以上にしっかり着こなし、胸元には卒業の文字が書かれた花札を付けている。



中学の卒業とは一人一人が違う道へと歩き出す第一歩。



クラスの皆が卒業を喜び、また寂しさに涙している。このまま卒業をしてしまうのは悲しいという事で女子達が計画し、飲食店の大部屋で打ち上げがあるという。

卒業式を終えた後、私は仲の良かった2人と一緒にお店へと向かった。私のクラスは40人と多く、男女の比率も同じくらい。聞くところ、打ち上げには全員参加という事だ。

学校からお店まで徒歩10分しない所で行われる為、すぐに会場へ着いた。店員の案内で部屋に通されるとクラスメイトの一人が「こっち!」と手招きをして私達を呼んでいる。呼ばれた方の席に座ると目の前のテーブルには豪華なオードブルなど沢山の料理が並べられていた。


こんなに沢山食べられるのだろうか…。そもそも、中学生の私達が払える金額で済むのだろうか…。


そんな事を考えていたら部屋の中央からパンパンと手を叩く音が響いてきた。


「みんな!卒業おめでとう!これは先生達から君達へのお祝いの気持ちだ。いっぱい食べて、楽しい卒業パーティーにしてくれ!」



ああ…。そうゆう事ね。
担任の先生方には申し訳ないが、せっかくだからご馳走になろう。
よく考えたけど、成長期の私達というか男子達にしたらこの量は大したことない量なのかもしれない。



「では!乾杯!」



「「かんぱーい!!!」」




担任の乾杯の合図と共に生徒達の声とグラスのぶつかる音が部屋中に響く。そして、料理の取り合いで騒いでいる男子やグループごとに盛り上がる女子の声が聞こえてくる。みんな盛り上がっている様だ。
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