【short/他】

□甘い熱だけ残して
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カーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚めた。むくりと起き上がってぼーっと部屋を眺めると、脱ぎっぱなしになっている部屋着が目に入った。
そういえば昨日はお風呂に入るまでもなく寝ちゃったなぁとか考えながら隣を見ると、布団がこんもりと盛り上がっていた。
布団の中を少し除くと髪がボサボサになっている恋人の寝顔が見えた。朝日が顔に当たっているのに眉毛すら動かさないなんて相当眠いのだろうか。
布団を元に戻しベットから降りて、クローゼットから部屋着を取り出して着替える。
床に散らばっている洋服をかき集めて洗面所へ持っていき、洗濯機に放り込んでスイッチを入れた。
コーヒーメーカーのスイッチを入れて朝ごはんの支度をする。
昨日食パンを買ったから今日は洋食にしよう。
パンにバターを塗っていると寝室から物音がし、振り向くと彼がぼーっとしながらもそもそ起きてきた。


『おはよう、一静』
「・・・ん」


どうやら彼はまだ眠いみたいだ。
そのままフラフラとキッチンへやってきて調理をしている私に抱きつく。


『一静、重いよー』
「んー」


一静は私よりも身長が30cm以上も高いから、作業をしている時にくっつかれると正直やりにくい。


『こらーっ』


離れてくれないのでくっつかれたまま作業を続けると服の中に手が入れられる。何事も無いように身体を撫でている。


「・・・下着つけてねぇーの?」
『上はね。寝起きだし、それに昨日お風呂に入ってないから臭いかもよ?』
「臭くねぇーよ」


そう言って首筋に顔を埋めてくる。髪の毛が当たって少しくすぐったい。


「・・・匂いがする」
『え!!臭い!?』
「いや、香水の匂い」
『え?あぁ、昨日一静の香水付けた。いい匂いだよねアレ』


匂いがきついのは好きじゃないんだけど、一静の選んでくるのはいつもいい匂いで時々付けている。


「・・・俺の匂い」
『・・・なんかそれ変態っぽい』
「嗅いだらヤリたくなってきた」
『え!!!』
「これからどうですか?」
『ご飯は!?』
「んなもん後でいい」


私の身体を持ち上げて寝室へと逆戻り。重みがかかったキングベッドがギシリと音を立て部屋の中へ響いた。
一静のキスが私を虜にさせるから身体も熱を帯びてきて、彼の首に腕を絡めてると2人の身体はベッドへと沈んでいった。

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