BOOK1 nmb/akb

□傷
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miyuki side

ピピピッ ピピピッ

美「んっ……んー!」

手探りで目覚ましを止める。一人で寝るには広すぎダブルベット。
隣に好きな人がいない朝もそろそろ慣れなくてはいけない。

寝室を出て顔を洗い、歯を磨く。
ついでに昨日のお風呂の残り湯を追焚きする。
朝のニュースを見ながらのんびり支度をする。時計を見てあと30分!やばっ
急いで朝ごはんの支度をする。

すると、玄関の鍵がガチャガチャという。

美「ふふっ、帰ってきた!おかえり。」

彩「お…ただいま」

その顔と一声でいつもにも増して疲れていることがわかった。

美「お疲れ様」

玄関に座り、靴を脱ぐ彩ちゃんの背中に抱きつくと彩ちゃんもこちらを向き
抱きつかれる。

彩「ただいま」

美「お風呂湧いてんで。ご飯作ってるから入っといで。」

彩「うん、ありがとう。でも、めっちゃ疲れてんねん。
風呂入ったら寝るわ。起きたら食べるな。ごめん。」

美「うん、わかった」



リビングで一人で朝食を食べていると、彩ちゃんは寝室に入り寝てしまった。
ふと椅子の後ろにかかるカレンダーを見ると、昨日は満月だったからか。


夕方まで彩ちゃんを起こさないようにいつも通り家事をこなす。
夕食の時間になり、彩ちゃんを起こす。

美「彩ちゃん、夕飯できたよ?」

彩「ん…ありがとう」

昼間ぐっすり眠ったからだろうか、珍しく寝起きが良い。

彩「美優紀、調子は?薬飲んでる?」

美「大丈夫やで。」

彩「それならよかった」




夕食後、やっと二人きりの時間。

美「昨日、満月やったんね」

彩「そーなんよ。急患が多くて参ったわ」


彩ちゃんは大きな病院の救命科で働いていて、昨日は夜勤だった。
そして、満月の夜は何故だか普段より急患が多くなるそうだ。

彩「美優紀が運ばれてきたんのも満月の夜やったな」

美「そうやったん?」

彩「うん…」

どちらからともなく唇を重ねる。彩ちゃんの手は上着のボタンかかっていた。
一区切り唇を重ねた頃には上着は取り払われていた。

彩「傷、残ってしまったな…」

ちょうど乳房の中心に入る手術痕をゆっくり指でなぞる。彩ちゃんが執刀したものだ。

美「ええねん。彩ちゃんが私を助けてくれた証やから」

彩「美優紀…生きててくれてありがとう」

美「助けてくれてありがとう」

彩「好きだ…」

美「私も大好き」





end

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