BOOK2 keyaki/hinata

□rip stick
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きょんあや

それは突然だった


______京子が浮気をした。




国語の課題で借りていた本を返すために、1階の図書室から西階段を登り京子が待つ3年の教室に戻ろうとした時だった。
「このあとは京子とどこに行こうかなー。」

2階から3階の踊り場に座り込む京子の姿があった。
「ん?京子……?!!!!!!!」
座り込み腕を伸ばした京子の前には中等部の制服を着た女の子が。

多分、ダンス部の子だと思う。
リップをその子に塗ってあげていた。

京子を見ると、その子を見る眼差しが友達に向けるものではなく、少し微笑んでいた。

「浮気じゃん…..」

ショックだった。でもなぜか冷静で私は東階段に回り教室へ荷物を取りに行った。

誰もいない教室には夕日が差し込んでいて、オレンジ色の世界。
荷物を取り、教室を出ようとすると京子が戻ってきた。

『おい、彩花。なんで先帰るんだよ。』
「何言ってんの?京子が悪いんだからね!」
『なんのことだよ。私が悪いって何した?』
「何って、、、浮気!!」
『は?浮気ってなんだよ』
「へぇ、私が知らないとでも思ってるの?私は見たんだからね!」
『だから、なんのことだよ。見たって何を見たんだよ』
腕をつかもうとする京子の手。さっきまであの子と撫でていたのかもと思うと、生理的に無理と避けてしまった。
「京子なんか大っ嫌い!!」
『ちょ、待てよ』
「見たんだから!私、、、、
京子がさっき中等部の子にリップ塗ってあげてるところ。
京子、すっごく嬉しそうだっった。やっぱり若いこがいいの?私より可愛い子の方がいいんでしょ?」
『は?ひなのか、、、』
「もう知らないっ!」
『違うんだって。中等部ダンス部の子で、大会前で緊張してうまく踊れないっていうから
おまじないって塗ってあげたの。ほら、メイクは高等部だけOKだろ。
ひなのがいつか私のリップの色とか聞いて来てたから。それだけ』
「…..そうだったの?でもすごく嬉しそうだったじゃん。」
『あれは、、、彩花が前にくれたリップあったでしょ。それで彩花の話になって。
ひなのがそれつけたいって言うけど、大事なものだからダメって。
ひなの、彩花のこと知ってたよ。綺麗な人だって。それで嬉しかったの。』
「ばっかみたい」
『許してくれる?』
「うん、、、ごめん京子」
『いいよ。』
「じゃ、いこ」
『うん』


End
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