BOOK2 keyaki/hinata

□年上3高彼氏?
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友香、今日の夜空いてる?
「今日はちょっと、、、」
ダメだよ、かおるー。友香には年上のハイスペック彼氏がいるんだから〜
そっか、そうだよね。今日は久しぶりに会えるっていってたもんね〜
今日は商社マンとの合コンだったんだけど、友香にはいるもんね
いいなー、年上の彼氏!頑張ろうね、私らも!
うん!友香も楽しんでね!
「あ、うん。ありがとう」

私、菅井友香にはお付き合いして半年になる男性がいる。
平手くん。5つ年下の会社の後輩。
うちの会社は社内恋愛禁止だから、同僚には年上の別の会社の人と言ってある。
てちのことを話していたら、彼女たちのかでハイスペック完璧彼氏像ができたらしく、こんな風になった。

この会話をてちが聞いていないわけもなく、私用の携帯に通知が来る。
「ハイスッペク年上彼氏ね。俺のこと?」
「わかってるでしょ、うちは社内恋愛禁止。私も一応幹部候補なんだから。」
そう、返信するとトムによく似た猫の返事とは関係ないよくわからないスタンプが返ってくる。
ムッと彼の方を見るとニコッとしていた。どうやら私をからかっていただけのようだった。
「今日は友香の家で映画見る?」
「帰りに材料買ってなんか作ろ?」
ラジャーなんてまた芸人さんかな?よくわからないスタンプがくる。
ほんと、こういうところが子どもだなーって。

携帯に気をとられていると、
「菅井さん、チェックお願いします。ハンコも」
てちが私のデスクに来た。
「あっ、はい」
素っ頓狂な返事をすると、彼は私の耳元で「ドキッとした?」
なんて、キザなセリフを捨てていった。
ん、もう!

てちは、平手くんは、仕事ができる。
彼がパソコンに向かって考えている後ろ姿、クライアントと真摯に向き合う姿、上司にも物怖じせず自分の意見を述べるところ、同僚への心配り。完璧なのだ。

そして、二人の時間で気づいたこともたくさんある。だから、私は彼のことが好きになった。


今日は金曜日の夜。華金なんて言われているし、私もそのつもりだったのだが、小さなトラブルが起きて私はその対応に追われ帰りが遅くなった。
「俺がなんか買っておくよ。友香、頑張って」
「うん、ありがとう」
てちって料理できるの?なんて疑問もあったが、私は目の前の仕事に集中してなんとか、夜が深くなる前に家に帰ることができた。

「ただいまー、てち?」
部屋に入ると電気がついていて、てちの靴も玄関に乱雑に置かれていた。
やれやれと靴を揃えて中に入るとリビングで寝てしまっているてちを見つける。
ダイニングテーブルには、スーパーで買ったのだろうお惣菜が一通り置かれていた。
なるほど、てち。作ることを諦めたのかと思ったが、いろどりにトマトとかを買って綺麗に盛り付けはされていた。
そういうセンスだけはあるんだよね。
ソファーでは、スーツのYシャツのままスヤスヤという言葉が一番適当であるくらい静かに寝息を立てて眠っていた。

「かわいい。てっちゃん」
白いプニプニの頬をツンツンとしてみる。男性にしてはヒゲが薄いらしく、彼はそこがコンプレックスだといっていたが、肌が綺麗な男性は清潔感があっていいと思う。
てっちゃんの寝顔で遊んでいると、気づいたようで目を覚ました。
「あ、友香。おかえり」
「ただいま、待ったよね?」
「あ、うん。でも寝てたから。お腹すいた。」
「そうだね、食べよっか」
「うん。」

グラスを重ね乾杯の音を奏でる。
「乾杯」
「お疲れさま」
「うん、お疲れ様」
「スーパーのお惣菜でごめんね。俺作ろうと思ったんだけど、よくよく考えたらできないって思って」
「そんなことだろうと思ったよ」
「でも、一応トマトとか買ってみたんだけど」
「うん、よくできました」
「ふふ、友香に褒められた〜!」
てっちゃんはお手伝いを褒められた子どものように全身で喜びを表現する。
「もうてっちゃん、口の周りに食べ物ついてるよ」
「え、どこ?」
ティッシュをとり、てっちゃんの口の周りを拭ってあげる。
子どもみたい。
「ね、今子どもみたいって思ったでしょ?」
「てっちゃんは子どもでしょ?」
「やっぱり、年上のハイスッペクな男の方が友香はいいの?」
「あ、昼間のこと?」
「あれ、意外に俺傷ついたんだよ」
「私はてっちゃんのこういう子どもなところも好きなの」
「子どもって言うなよ」
「かわいい、てっちゃん。ずっとこのままでいてね?」


End
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