熱闘甲子園

□熱闘甲子園27
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rino side

莉「里英ちゃん!」

里「あー!久しぶり!」

莉「帰り?」

里「うん。」

莉「一緒帰ろ?」

里「うん。」





8月が終わってからはお互い忙しくてなかなか話すことがなかった。





里「莉乃ちゃんは、これからどうするの?」

莉「私は進学、大学行くの。里英ちゃんは?」

里「僕も就職するよ。」

莉「野球、辞めちゃうの?」

里「ううん。続ける。新潟の会社が実業団持ってて、そこに就職することになった。」

莉「よかった……里英ちゃん野球しかいいとこないから。」

里「それは言い過ぎでしょ!でも、バッテリーだった山本はプロだもんなー。
ホント、すげーよ。それに比べて僕はダメだなー。」

莉「そんなことないよー」

里「ちょっと、からかってるでしょ。」

莉「ハハハハ。でも、里英ちゃんが野球やってるとこカッコいいよ。」










里「あのさ、莉乃ちゃん…………」

里英ちゃんは私の肩を持ち、私と向き直した。





里「僕さ、莉乃ちゃんのことずっと好きだったんだ。

でも、莉乃ちゃんが好きになるのはいつも違うやつで僕とは全然違う人で

いっつも振られて泣きついてきて。

莉乃ちゃんがいくら他の人を好きになっても、僕はずっと莉乃ちゃんのことが好きだった。

ほっとけないんだよ。

いつか、莉乃ちゃんに見合う男になって迎えに行くから待っててくれませんか?」





莉「えっ………」

里「あ"ーーー言っちゃった………」




里英ちゃんはそのまましゃがみ込み、頭を抱えていた。
私も何が起こったのかさっぱり分からず、ただ呆然としていた。





莉「いつから………?」

里「幼稚園の頃からずっと」



莉「私が他の人好きになってても?」

里「いつも振られて励ましてたの僕だし。なんで莉乃ちゃん振るんだろうって思ってた。」

莉「ほんとは?」

里「ずっと僕の側にいて欲しかった。どこにも行かないで欲しかった………」



莉「私のどこが好き?」

里「おっちょこちょいで、家事が苦手で、ネガティブで、変顔がヤバくて
でも優しくて、何事にも一生懸命で、笑顔が可愛いところ」



莉「迎えに行くって、いつ?」

里「えっ…」

莉「だから、いつまで待てばいいの?」

里「僕、実業団で頑張ってプロ目指そうと思ってるんだ。だからプロになれたら。」

莉「待ってる」

里「え……」

莉「待ってるから。私が誰かのとこ行かないうちに迎えに来てよね。」

里「莉乃ちゃん……」




里英ちゃんは立ち上がり、飛び切りの笑顔で私に抱きついてきた。

莉「ちょ…ちょっと……」

里「あっ、ごめん」

里英ちゃんはすっと私から離れた。

莉「私まだ里英ちゃんのこと好きになってないから。惚れさせてよね。」

里「うん」

そういうと、里英ちゃんは私の腕を引き、胸の中に抱きしめた。

里「莉乃ちゃんのこともう泣かせないから。」





小さい頃から一緒だから何とも思わないと思っていた。
幼稚園の頃から好きで、でも今まで言わなかったてどこまで奥手なのよ、
惚れさせられるもんなら惚れさしてよ、と思っていた。

でも、里英ちゃんの背中はいつの間にか大きくなっていて、
もう一度抱きしめられた時、ドキッと心臓が言う音がした。







end
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