熱闘甲子園

□熱闘甲子園23
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rino side

第二回戦の相手は栄学院。毎年甲子園出場の名門校だ。
そして、栄学院には山本くんと並びメディアの注目選手の松井くんがいる。
正直指原、松井くんみたいなのはタイプじゃないんだよね。

記者「松井くん、今日の試合の意気込みを、カメラに向かって。」

松「君だけのために勝つよ」

ギャラリー「キャ〜」

うわー、カメラに向かってウインクとかしちゃってるしギャラリーには投げキッス。



一方、山本くんは。

山「あっはい。精一杯頑張ります。」



この低姿勢な感じがいいのよー。まっ叶わぬ恋だけど。







試合が始まると松井くんの顔が変わった。バッターボックスにはうちの4番渡辺くん。
山本くんの球も軽々返せるようになった自慢のバッターだ。

しかし、、、


審判「ストライク!」

審判「ストライク!」

審判「ストライク!バッターアウト。」


全く歯が立たなかった。









0-3で栄学院のリードで迎えた9回表。秋葉学園、最後の攻撃。

横「厳しいな。でも、ここで諦めたくない。最後まで闘うで!」

北「言われなくてもわかってますよ。」

渡「俺たちにはそれしかできないっしょ」

山「とりあえず打ちますか。」

「「「「はい!!」」」

この絶望的な状況にもかかわらずみんなは諦めてなかった。




rie side

バッターは僕、北原。

審判「プレイボール」

松井くんがボールを振りかぶろうとすると、球場に怒号が響いた。


玲奈「珠理奈ぁあああああ!!!」

松「れれれ、玲奈ちゃん??なんで!?!?」

玲「なんで?じゃ、ないわよ!試合前の取材のTVみて名古屋から飛んできたの!
なんじゃ、あのウインクは!!浮かれてんのか!!」

松「ひぃいい!」







北「ん?どういうこと?」

僕は栄学院のキャッチャー、高柳くんに聞いてみた。

高柳「あれ、ウチのOGでマネージャーだったんすよ。で、今は珠理奈の彼女。
あー、玲奈さん来ちゃったか、、、あんたら、持ってるよ。」

北「はぁ、、、」

その時は僕はまだこの言葉の真意はわからなかったが、
わかったことは、チャラ男の松井くんの行動に彼女がキレて球場に乗り込んで来た
ということだ。そのまま、松井くんの彼女は係りの人に連れられ、
玲「覚悟しておきなさい」と言い残し去っていった。

試合は何事もなかったのように再開された。




1球目 スッ………



あれ、おかしい。明らかにさっきの松井くんと様子が違い気迫や威厳が全く感じられない。
それどころか、ヘビに睨まれたネズミのようだ。

これは、打てる。

確信した。


2球目。外側カーブの100kmくらい。
タイミングを合わせ、バットの芯に思い切り当てる。ボールがゆっくり見えた。

カキーン

打ったボールは空に吸い込まれ飛んでいく。どんどんと飛距離を伸ばし
観客が固唾を飲んで見守る。ボールはまっすぐバックネットを越した。


観客「「「「「「ウオォーーーー」」」」」


ここまで全く歯が立たなかった僕らに光が差し込んだ瞬間だった。
僕はガッツポーズで走り、ホームベースを踏みしめた。

渡「やるじゃん!!」

山「すげーよ」

北「いや、松井くんの様子がおかしい。このままいけば勝てるかもしれない。」

横「よっしゃ!柏木!!続け!!」

柏「はい!」


こうして9回の表で7点を返し逆転した僕らは9回の裏で1点返されるも、
7-4で名門栄学院に勝利した。




その後、話を聞くと松井くんは彼女の玲奈さんの尻に敷かれっぱなしで、
試合に玲奈さんが来ると緊張して思うような試合ができず、玲奈さんは出禁になっていたそう。
しかし、試合前の取材のVTRを見た玲奈さんが怒って大阪まで殴り込んで来てしまったという
ことだったそうだ。




北「ウチの部活の恋愛禁止って案外無駄なルールじゃないのかもね。」

山「あー、そういうことなんかなー。」

北「誰が作ったんだか……」








end
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