熱闘甲子園

□熱闘甲子園16
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sayaka side


東京に来てから早3ヶ月。なんとかこっちの生活にも慣れてきた。
学校と寮の周りだけでもだいぶ土地勘がついてきた。街をランニングするようになった。
今日は散歩も兼ねて少し遠くまで来てみると、向かい側からも若者が走ってくる。

北「あっ、山本」

山「北原やん」

北「どうしたの、ここまで。」

山「こっちのほう、来たことなかったら。」

北「そ。ねぇ、喉渇かない?」

山「おごり?」

北「しょうがないなー」

山「よっしゃ!」





北原は近くの自販機でジュースを買ってきてくれた。

北「ほいっ」

山「さんきゅ」

北(プシュー)「あー、生き返る」

山「走った後はこれに限る」

北「なっ……」





男二人、それもバッテリー。偶然、街中で出くわしてジュースを飲み交わすところで
会話が弾むわけはない。




北「あっのさ……。次だよな。」

山「あぁ、次勝てば甲子園や」

北「緊張してる?」

山「いや、怖いくらい全く」

北「そっか。」

山「緊張より楽しみやわ」

北「僕も」

山「全国の強い奴らと戦えるんやで。自分がどこ通用するんか楽しみやわ」

北「ふっ、山本らしいな」

山「そうか?でも、こう思えるのも北原のおかげや。
大阪では俺一人で引張てたもんやったから。
こっち来て、強い奴とチーム組めて
この中で自分の持てるもんどう活かそうかって考えられるようになってん。
そのきっかけをくれたんは北原やから。」

北「僕は山本のお陰で夢が見れるようになった。山本とならどこまで行けるんだろうって。
それに、山本に負けたくないって思えるようになった。」




顔を見上げると、ドラマのCGとかでありそうなデッカい夕陽が俺らを照らしていた。
前言を撤回しよう。俺は最高の仲間(バッテリー)に出会えたみたいだ。











山「夕陽きれいやな」

北「な、陽沈むの遅くなったよね。」

山「問題。地球の公転周期は?」

北「えっ……なにそれ?コウテンシュウキ??」

山「マジで。ヤバっ。地球が太陽の周りを回ることを公転。その周期は?」

北「理科パス!」

山「ちなみに、一年な。一年で一周しかしいひんねんな。」

北「いや、たった一年じゃないか。人間の一年って意外と短いよ。」






end
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