熱闘甲子園

□熱闘甲子園13
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rino side

今日の試合も絶好調だったぁ!!
やっぱ山本くんのストレートカッコいい!!


私は教室でデータ分析を終え、今日の試合の興奮も冷めやらぬまま意気揚々と
スコアブックを部室に戻しに行った。

データ分析に夢中になってしまい、もう学校には残ってる人なんていないような
ものだった。

しかし、部室の電気はまだ付いていた。

もー、誰よ。つけっぱ。なんて思いながら部室に近づくと中から話し声が。

ドアをそっと開けると二人の男女が抱き合っていた。




女の方はYシャツの裾がヒラっとし、明らかに前が開いているのがわかる。
背格好から、みるきーと山本くんだとわかるのは難しくなかった。



私は反射的にドアを閉めて、その場から逃げた。
走っていると、目から涙が溢れてきて涙で溺れそうになった。

どこへ行くでもなく、何も考えずに走ると前の家の近所の公園ベンチに私は座っていた。

砂場や滑り台にいるはずの子供たちも、もう家に帰ってしまっていた。








それは、そうだよね。みるきーは山本くんとずっと一緒にいるんだもんね。
山本くんも、みるきーみたいなかわいい子がいいよね。

山本くんが孤高の存在であり、みんなに人気で、ライバルも多いことはわかってはいたが
いざ他の人のものだったということがわかり、また私の恋愛が終わったと悲しかった。






?「莉乃ちゃん?」

私を呼ぶ声がする。声のする方を振り向くと里英ちゃんがいた。

里「莉乃ちゃん、目真っ赤だよ。どうしたの?」

莉「里英ちゃんには関係ないでしょ。目にゴミが入っただけだって。」

手で涙を拭う。





莉「里英ちゃんこそ、こんなとこで何してるの?」

里英ちゃんは私の隣に少し間をあけて座る。




里「何って、ランニング。そしたら泣いてる莉乃ちゃんいたから」

莉「だから、泣いてないってば」

里「泣いてるじゃん。まぁ、莉乃ちゃんのことだから好きなアイドルが卒業しちゃうとか?」

莉「そんなんじゃないし。」

里「そっか。」







里「ねぇ、前にもこんなことあったよね。」

莉「ないよ。」

里「えー、覚えてないの?最初は幼稚園のとき。帰りにみんなで遊んでたら
莉乃ちゃん一人だけ公園の隅でずっと泣いてるの。」

莉「そうだった?」

里「そうそう、あの時は一つ上の田中くんだっけ?フラれて。」

莉「里英ちゃんよく覚えてるね?」

里「まぁね。その次は小5のとき。同じクラスの斎藤くんにフラれたとき。」

莉「あーそうそう。田中くんも斎藤くんも足速かったんだよねー。みんなに優しかったし。」

里「莉乃ちゃん、ホントにそういうの好きだよね。みんなの好きな人。」

莉「違うよ。私が目をつけるとみんなが好きになっちゃうの。」

里「その次は中2のとき」

莉「あー、それははっきり覚えてる。」

里「11月の寒〜い日。僕が部活終わりに携帯見たら『おなかすいた。公園いる』って。
何事かと思ったよ。」

莉「里英ちゃん肉まん買ってきてくれたよね。」

里「森先輩だっけ?サッカー部の。彼女いたぁーって。泣きついてきて。」

莉「あれはホントにショックだったもん。
みんな、森先輩彼女いないって言ってたのに。駅前でチューしてるとこ見ちゃったんだから」

里「あの人気で彼女いないわけないじゃん。






で、今回は………。山本?」






莉「うん


みるきーと二人っきりでいい感じのとこ、見ちゃって。」


里「そっか。」





莉「ねぇ、里英ちゃん。お腹すいた。」

里「ぷっ、何それw」

莉「空くもんは空くの!」

里「じゃあ、うちおいでよ。
どうせ莉乃ちゃんのことだからカップ麺とかばっかりなんでしょ?」

莉「…………」

里「図星だ。うちのお母さんになんか作ってもらお。僕もこれから夕食だから。」

莉「うん」








end
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