歪な愛に酔いしれて
□愛故に
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松野家に義理の妹として家族に加わった俺は6つ子の次男、松野カラ松に抱いてはいけない想いを抱いてしまっていた。
6つ子達は幼馴染のトト子さんが好きだから、勿論カラ松兄さんだってそう。
俺なんかじゃなくて、トト子さんが好きなはず。
自分で考えて、悲しくなってきた。
「……はぁ」
居間で独り、一松兄さんが可愛がっている猫をそっと抱き寄せて優しく撫でたり抱き締めたりする。
すると、俺の気持ちが分かるのか、慰めるかのように頬を舐めてきた。
「ん…優しいな、おまえ。俺みたいな奴を慰めるなんて…」
苦笑いを浮かべながら猫の頭を撫でる。
あぁ、好きなのに伝わらない。伝えてはいけない、抱いてはいけない想い…辛いな。
「……はぁ…」
「好きだよ、カラ松兄さん」
溜め息を吐くと、抱き締めていた猫…エスパーにゃんこが俺の本心を口にした。
慌てて辺りを見回すけれど、俺とこの猫以外誰もいない。
「見られてない…」
「伝えたい…」
「………無理だよ」
「………無理だよ、この想いを捨てるなんて」
もうやめてよ。
こんなところ見られたら、終わりだって…。