月と星の恋物語

□第十話
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「それで、いつまでいれるの?」

クラウンでいつものメンバーとちびうさが再会を喜んでいた。

「今回は遊びに来ただけだから1週間くらいかな?あたしもね、いろいろ忙しいんだ」

その言葉にそこにいる一同は疑問を浮かべる。

「あたしも正式に後継者としてやる事がいっぱい出来ちゃって」

えへへと恥ずかしそうに言うちびうさに一同は驚きつつも嬉しく思う。

未来は何も問題無く進んでいる。

その事に1番不安だったのはうさぎだが、他の皆も同じだったから。

「そういえば、うさぎの恋人は何してるの?」

「僕ならここにいるけど?」

不意に声がした方を見ればライツの3人がいた。

「えっ!いつからいたの?」

自分達のすぐ後ろの席にいた彼等に全く気が付かなかったうさぎ達は驚きを隠せない。

「いつからって、さっきからずっといたぜ?」

星野が呆れながら言うとうさぎ達は顔を見合わせ『気付いてた?』などとこそこそ話している。

「皆さん、とても楽しそうにお話されていたので声を掛けなかっただけですよ」

ふふっと微笑む大気に、どこか恥ずかしさを感じる。

「あなたがうさぎの恋人なの?」

目をパチクリさせながら夜天をみつめるちびうさ。

「そう。僕がうさぎの恋人の夜天光だよ」

自己紹介も兼ねて手を差し出す夜天。その夜天の手を恐る恐る握り返すちびうさ。

「俺は星野光って言うんだ。よろしくな、ちびだんご」

星野もにっと笑ってちびうさに手を差し出す。

「あたしはちびだんごじゃないわよ!」

そう言ってぷいっと顔を横にしてしまったちびうさに、ケラケラと笑う星野。

「おだんごそっくりだな。ごめんな、ちびだんご」

そう言ってちびうさのおだんごをポンポンと叩く。

「星野が失礼な事を…すみません。私は大気光と言います」

にっこりと微笑む大気。

「皆、光って名前なんだね」

ちびうさの素直な感想に、うさぎ達もそれは一度は思った事があるなとそれぞれ思う。

「私達の星では戦士になるものだけが2つの性と新たな名を頂くんです。その時に男性なら光と言う名前と決まっているんです。苗字はそれぞれの元の名前の苗でも名でも良いのですが」

大気はうさぎ達の顔色を見て何を思っているか理解出来た為に、今まで言う機会が無かっただけなので軽く説明をする。

「ほぇー。そうなんだ。あっ、じゃあ、大気さん達以外にもセーラー戦士がいるの?」

「あぁ、いるぜ。戦士見習いもいっぱいいてるんだ」

その星野の言葉にちびうさがピクリと反応する。

「戦士見習い…あたしみたい…」

そう呟いたちびうさの顔は嬉しそうなもので。

自分以外はみな立派な戦士だ。それがたまに悲しく思うこともあった。

「沢山修行して、皆立派な戦士になるんだよ。大丈夫。君も、うさぎみたいな立派な戦士になれるさ」

夜天はそう言うとちびうさの頭をポンポンと叩く。

そんな夜天の言葉と行動に、ちびうさは少し顔を赤らめる。

何も話してはいないが、自分の気持ちをわかってくれたことに、恥ずかしさと嬉しさが込み上げてきた。

「あ、ありがと。うさぎには勿体無い恋人だわ」

ボソッと呟くちびうさに、うさぎはわーわーと反論している。

けれどもこうしてちびうさが彼等と仲良くしているのを見るのは嬉しいなとうさぎは思っていた。
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