贈り物
□guardian
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「うさぎ〜!亜美ちゃん達が来たわよ〜!」
「はーい!ママ、行ってきます!」
元気よく家を飛び出すと、亜美とまことがいた。
「「おはよう、うさぎちゃん」」
「おはよう、ごめんね。毎日迎えに来てもらって…」
申し訳なさそうに言ううさぎだが、すぐに辺りをきょろきょろと見渡す。
「そんなの気にしなくていいわよ、うさぎちゃん」
「そうだようさぎちゃん。今日もあたし等がいるから平気さ」
「うん、そうだね。ありがとう」
そう言って3人は学校へと向かい歩き出した。
ここ1ヶ月、毎朝こうしてまことや亜美、それに美奈子やレイが交代でうさぎを迎えに来ている。
ーーーーーーーそれには理由がある。
初めは、うさぎの気のせいだと思い皆には何も言わなかったのだが、いつも誰かの視線を感じていた。
けれどもそれが気になり、辺りをきょろきょろと見渡す行動が多くなったうさぎを美奈子は不思議に思う様になった。
美奈子も最初はそれ程気にはしていなかったものの、明らかにうさぎの様子がおかしい。
うさぎに聞くも『何もない』の一点張りだった。
美奈子は、うさぎに聞いても何も答えてくれないので、レイやはるかに新たな敵の陰はないかと尋ねたが、お互い不穏な陰は何も感じないと言う。
そんな時、今度はうさぎの学校や家にいるときの写真がポストに大量に入っていた。
うさぎは怖くなり、遂に美奈子達に相談した。
ここ1ヶ月程、外を歩けばずっと誰かの視線を感じる。それに、ポストに大量の写真が入っていたと美奈子達に言えば、美奈子達に『ストーカーではないか』と言われた。
敵がいないと思われる今、考えられるのはそれだけだった。
うさぎは気付いてはいないが、誰にでも平等に振りまかれる笑顔や優しさなどが周りの者達を惹きつけていた。
最近は以前に増して大人びてきていて、通り過ぎる者も振り向く程可愛らしく、美人になっていた。
そんなうさぎだからこそ、ストーカという結論に至った訳だ。
そうなれば、うさぎを危険な目に合わすわけにはいかず、常日頃誰かがうさぎの側にいようと言う事になったのだった。
毎朝必ず誰かがうさぎの家まで迎えに行く。それは帰りも同じ事。どうしても皆の都合が合わない時の為にギャラクシアとの戦いの最中に登場したレイを瞬時に呼ぶ笛(笑)も常時していた。
初めの内は『1人で平気だから』と皆の申し出を断ったが、1人でいるととても不安になった。
『見えない誰か』にずっと見張られているような、そんな環境に耐えられなかった。
断ってから『やっぱり一緒にいて欲しい』と言うのも気が引けたが、皆は快く了承してくれた。うさぎの頼みを断る筈がないのだが。
衛とは色々あり、お別れしてしまって頼れるのが美奈子達しかいなかったうさぎは皆にとても感謝していた。
皆が側にいてくれるおかげで、安心して外を出歩けるから。
そして、亜美とまことのおかげで今日も無事学校へ辿り着けることが出来たうさぎは一安心し、授業を受けるのであった。