贈り物

□Piece of Menmory
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微睡む意識の中でそっと目を開けると、見知らぬ天井が目に入る。身体が思うように動かない。

「よかった。目が覚めたのね」

声がした方へ顔を向ける。看護師さんだろうか。見知らぬ女性が安堵の顔をしている。

「ここ・・・病院?」

「えぇ、あなたこんな雨の中倒れてたのよ?お友達が運んできてくれなかったらどうなってたか。外で待ってくれてるから呼んでくるわね、ついでに先生も」

そう言って看護師さんは部屋から出て行った。雨が降っていると言われ窓の外に目を向ける。

(私、こんな雨の中で倒れてた?)

「気付いたんだ。よかった。心配させないでくれる?」

ふと、声がした方に顔を向けると銀色の長い髪、エメラルド色の瞳の制服を着た男の子が立っていた。その男の子を不思議そうに見る。

「・・・あなた、誰?」

彼女から発せられた言葉にその彼は驚愕の表情ーかおーをする。

「ちょっ、何冗談言って・・・」

そうは言ったものの彼女の表情は冗談のじの字もない、真剣なもの。

「まさか・・・僕がわからない?」

その問にコクリコクリと呟く。

「待って。じゃあ、君の名前のは?」

そう問うと、彼女は黙り込んでしまった。

「・・・・私、誰なの?どうしてここにいるの?あなたは誰?」

彼女の口からやっとの思いで出た言葉。真剣に紡がれた言葉に彼は軽く目眩がした。








ーPiece of Menmoryー









「と、いう訳みたい」

集まってくれた仲間達に事情を説明する。何故、何故こんなことになってしまったのか。

彼ー夜天ーは彼女ーうさぎーを見つけた時の事を思い出していた。

今日は土曜日で、学校は休み。けれども仕事があったため、外出していた夜天。止むことを知らない雨が体温を奪う。一刻も早く自宅に帰りたい。けれども一人の時、脳裏に浮かぶのは。

おだんご頭がトレードマークのドジでバカで泣き虫な女の子。夜天にとって最初は苦手な存在だった。自分達の星が滅ぼされ、プリンセスを探しに来た時は。プリンセスさえいてくれれば。そう思っていたのに。いつしかこの娘を好きになっていた。彼女には恋人がいる。それを知って諦めようとした。彼女が銀河を救い、プリンセスが戻ってきた。そして、自分達の星へ帰ればこの思いなどなくなると。そう思っていたのに・・・

この気持ちは止まることを知らなくて。プリンセスがもう一度この星へ行ってもいいと言って下さった。今度こそ自分の気持ちに正直になろうと。そうして戻ってきて彼女と過ごす内に増々彼女への想いは募るばかり。

けれども、彼女の隣にはいつも彼がいて。付け入る隙はあるのかと何度も自問自答した。しかし諦めれるはずがないのだ。

そんなことを考えて歩いていると公園に差し掛かった。こんな雨の日に誰も居る筈がない。そう思い、何も気にせず通り過ぎようとした。すると目に入ったのはこんな雨が降っているのにも関わらず、傘も差さずに公園を歩いていたうさぎ。するとその場へ倒れこむ。

「っのばか・・・!」

そう言うと夜天はうさぎの元へと駆け出し、倒れたうさぎを抱きかかえる。雨に濡れ、うさぎの身体は冷えきっていた。

(このままじゃ・・・まずい)

そう思い近くの病院へと駆け込んだ。
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