贈り物
□RedAnemone
1ページ/6ページ
チチチチ・・・
目覚ましの音で覚醒して行く意識。
今日は土曜日。
愛しい彼との約束の為にまだ眠い体を起こしベッドから出た。
ーRedAnemoneー
(君を愛す)
「ルナ、おかしくない?」
クルクルと回ってどう?と猫に尋ねる少女。いつものトレードマークのお団子頭に星と月をモーチフにしたネックレス。
愛しい彼から貰った月と蝶のピアス。ピンクのふわりとしたミニのワンピース。誰が見ても可愛いの一言だ。
「大丈夫ようさぎちゃん。とっても可愛いわ」
飾らなくても可愛いもの、と付け足すルナ。
「えへへ、ありがとうルナ」
準備が終ったうさぎは玄関に行く。
「何かあったらすぐ連絡するのよ?」
「わかってるわよー。ルナは心配症ね」
お母さんみたい、なんて言って。
「じゃあ、いってきまーす!」
元気に家を出た。温かい眼差しで見送ったルナはうさぎの部屋へと戻る。
うさぎちゃん、すごく幸せそう。見てるこっちまでにやけちゃうわ。なんてことを思いながら。
ーーーーーーーーーーー
公園に着くと、待ち合わせまでまだ10分もあるのにそこには愛しい彼が居た。
「ごめん、夜天君。待った?」
そう、愛しい彼とは、今話題のスリーライツの一人、夜天光。
「待ってないよ、今来たとこ」
目を合わさず答える夜天。その夜天の仕草に不安になるうさぎ。
「あ、の、夜天君、怒ってる?;やっぱり結構待ったんじゃ・・・」
心配になりあわあわとし夜天に駆け寄る。
「はぁ・・・違うから。うさぎが可愛いから他の奴に見せたなくないだけ」
いつも可愛いうさぎ。それは間違いないのだが。今日は一段と可愛い。普段のうさぎでも他の奴に見せたくないのに、そんなに可愛い格好をしたうさぎを他の奴に見せるのは増々嫌だ。
「な、何言ってのんよ///そんなこと言ったら夜天君だって格好良くて、あたしだけの夜天君だったらどんなにいいかっていつも思ってるわよ?」
うさぎの言う『あたしだけの夜天君』とはアイドルである彼に対してのこと。
「アイドルとしての僕は皆のものかもしれないけど、うさぎの事を愛してる普段の僕は紛れもなくうさぎだけのものでしょ?」
そう言いながらうさぎの手を取り歩き出す夜天。
うさぎは照れたように『うん』と小さく呟き、繋がれた手の温もりを感じながら夜天とともに歩き出した。
「今日は買い物いくんでしょ?どっか行きたいところある?」
「夜天君とならどこでも嬉しい」
何気ない一言だが夜天には嬉しくて堪らない。
「そう」
特に気にしてないフリをして、2人は人混みの中に溶けていったーーーーーーー