セブルスSと極東の魔女
□休暇
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遂にクリスマス休暇、ホグワーツから猪助と蔵人が戻って来る事となり、其れにあわせて軽くご馳走をと云うこととなって。
二人を迎えに行った雫の居ない今、キッチンに立って居る(当然身長が全く足りてない紗霧は足台の上である。)二人は現在味噌汁の具を刻んでいた。完全なる日本食である。
「セブ、お味噌溶いてくれる?」
「あぁ、これで良いんだろ?
……けど、僕は味はこれで良いのか分からないぞ。紗霧が味見しないと、ほら、」
「うん、大丈夫。
ホント器用だよねセブ。日本食なのに作れるようになってきてるとか。才蔵なんてアレなのに。」
といって才蔵に目をやると、何を言われているかは理解していたらしい。まるでオッサンのように新聞を読みながら、
「料理は私の仕事じゃないですから。」
一言である。(其れは副隊長でなく真田忍隊長の仕事だとの副音声が聞こえた気もしたが気のせいだと思いたい。)
「サイゾウは料理しないのか。」
「今まで(かれこれ百年弱以上一緒にいるけど)した事ないんだよ。ずっと人任せ。
こういう家事とか諸々はね、今日帰ってくる猪助が得意なの。世話焼きだから。」
「それ、猪助本人に言ったら怒り出すのが目に見えるようですがね。猪助は何時も言ってるでしょう。
“世話焼きたくて焼いてる訳じゃねぇんだよ”って。」
無駄に元忍のスキルを使われた事に微妙な心持ちとなる。
今の声真似は確かに完璧であったが、本人も居ないのに聞くこととなるとは。紗霧からすると、凡そ百年程は説教され続けてきた人物の声である。
「今の声は、そのイスケさんの真似なのか?凄いな、サイゾウ。」
「そうですか?セブルスの真似も出来ますよ。
“僕達はこうした声真似は割りと得意なんだ。昔特訓したからな。”」
「僕の声はそう聞こえるのか?自分では分からないな。
……というか、僕達?他の人も?」
「“紗霧と猪助と蔵人の事よ。私達は四人共にそういう技術を鍛えられたの。”」
「!! サギリの声そっくりだ!」
ニヤリと口許を歪めて愉しげ、からかってくる才蔵に、其れならばと仕返しに、
「“ちょっと才蔵、私の声まで真似するのは止めて下さいよ。他人の口から自分の声が出ていると妙な気分になるじゃないか。”」
と、才蔵の声でしゃべってやったが忍同士互いに互いの声で話した処で正直不毛である。
ともあれ、
(セブが楽しかったなら、まぁ良いかな。)
結局の処、才蔵もそういった理由なのであろう。
こうしたスキルの入手経緯があまり他人に話せるような物でもない為に、今までこういった《遊び》をする事は無かったのだが。
こうした使い方ならば、悪くは、無い。