とりおん日記
□大人、子供、
1ページ/2ページ
「お前、昨日の緊急出動の時、バムスターの口にアイビス突っ込んで爆破したんだって?」
今日も今日とて取り敢えず防衛任務である。
本日は諏訪隊に参加しての任務の為に、一先ず挨拶でもと諏訪隊のかなり汚な……少し散らかった隊室へと出向いた処であったのだが。
「違うんですよ、諏訪さん。口に突っ込んで撃ったら偶々吹き飛んだだけです。
荒船君が突っ込めって言うから突っ込んだまでであって、私がしたくてした訳ではないんです。
そもそも昔ガンナーやってた時の癖で、突撃命令が出ると反射的に身体が勝手に…。」
「いやいや、普通ガンナーそこまで突っ込まねぇからな?オカシイだろ、その距離感。つか、そもそもアイビス口に突っ込めって意味じゃねーだろ多分。」
いちいち全てツッコんでくれるこの親切さ。
普段野放しにされる事が多く、やはり諏訪がいてくれるだけでこの安心感。くだらない会話をしたければ、彼が居なくてはと思わせる素晴らしい仕事ぶりである。
「まぁほら、その方がおもしろいかと思って。」
「何で面白さを求めてんだ。
お前、今日は突撃やめてくれよ、ちゃんと後ろから撃てよ?
……待て、アイビスは取り敢えず今日禁止だ。
もう少しで俺ごと吹っ飛ばすフラグたてるとこだったわ。
お前のアイビス威力砲撃並みだったな、確か…。」
直ぐ様訂正してくるとはなかなか勘の鋭い男である。ちゃんと後ろから巻き込んでやろうと思っていた為非常に残念でならない。
「………諏訪さんにはしないですよ。昨日はちょっと荒船君が酷かったんで軽くからかってやろうと思っただけで。」
「わざとかよ!普段天然みてぇな表情しといてアレまさか全部確信犯か!」
流石に推理小説愛好家、なかなか正確な指摘であった。勿論態とである。
「ははは、そんなまさかー」
「いい性格してやがんな…もう少しで騙されるとこだったわ…。」
本当に諏訪は良い男だと思う。本人には絶対言わないだろうが。こんな上司が欲しかった。
三度めの人生にも関わらず、未だ理想の上司とは出会えて居ない。
「あれ、いらっしゃい、雨野さん。今日は一緒に任務だったっけ。よろしく。」
仏のような顔をして諏訪隊隊室に入ってきたのは、つつみんこと堤大地。彼も諏訪隊であるから勿論何もおかしなことはないのであるが。
「ー…良いですね、諏訪隊。平和で和やかで爽やか。堤さんの人柄がそうさせてんですかね。笹森くんもか。」
「おい待て、隊長は俺なんだよ。だったら俺の気質だろうよ。」
「そろそろ時間だね、行こうか。」
「そうですね、堤さん。行きましょう。」
「聞けよ!」
こうした御約束にもキチンと乗ってくれるとは、本当に素晴らしい仕事ぶりなのである。