バサラの○○と行く○○の旅。
□忍風雲伝
1ページ/4ページ
他国との同盟を結び共闘という形でもって、復活した織田信長陣営との壮絶な闘いを繰り広げ。
忍衆で正確に情報交換を行う為、各同盟国に所属する忍で集まった……処までは記憶に残っている。
その後どうしたのか、どうなったのか分からない…が、どうやら紗霧は意識を失っていた様子であって、ふらつく頭を軽く振りながら周囲を見回してみたのであるが。
しかして、そこ在るは見たこともない酸化し黒ずんだ血のような物で描かれた謎の術式と、意識なき転がされたままの子供が3名ー……。
「子供……?此処は、」
小さく声を溢した紗霧であったが、此処でフと違和感を覚えたのである。
己が声はこれ程高かっただろうか、まるで幼子のようなー……
幼子の“よう”な?
其処で初めて己が身体を確認してみるに、丸切り子供のようであっては然しもの紗霧も驚いた。
(完全に子供になってしまっている)
では、この状況は。
ならば、この子供達は?
「 真逆、」
そこでよくよく髪色を見るに、一人は茜、一人は夕陽、一人は金糸の。
見馴れた色彩に溢れていては、子供達が誰かを認識したのである。
「お、長、長起きて、起きて下さい長、」
此れは紗霧にとっては数度目の。
何とはなしに状況を理解はしたものの、他人と共にトリップとは初めての事であっては何てこった感満載の。
此処がどういう処かも分からぬ、己らが身体の事もあらば一刻を争う事態である。
先ずは早く周辺の状況確認と3人と話を擦り合わせねばならぬ。
只四人が幼子に変えられ術式の描かれた部屋に監禁されているだけの事であれば良いが(良くはないが)、経験上此れはトリップ以外考えられぬ処。(部屋に戦国にない電灯が在るところとか…)
となると、『子供』であることを活かして情報を集めるが得策。
無知であっても怪しまれぬ、分からぬ事はしらばっくれ易く、常識に疎くとも受け入れられ易い。
この世界の誰かに見付かり怪しまれる前に、我々四人の話に齟齬が出ぬようせねばならぬ。
紗霧に揺さぶられ、長めの前髪の隙間からうっすらと眼を開けた(気配のする)小太郎に、
「気が付きました? 長、落ち着いて聞いて欲しいんですけど、」
小太郎が何時も通り、話をする前に暴れぬよう急ぎ説明しようと慌てた紗霧の声にか、目を覚ましたは佐助であった。
「…う、」
「先ずは聞いて下さい!とりあえず私は紗霧です!」
仕方ないが、何やら微妙な気分である。
「長も、さるすけさんも、急ぎ話さないといけない事があって、」
「……はぁ?何処の子?真逆、紗霧ちゃんの隠し子だとか言うんじゃ……」
との佐助の台詞に反論しそうになった紗霧は、しかし口をつぐむこととなった。
佐助が、己が口から出た声に驚いて硬直したからである。
(おおぅ、この顔レア……)
「落ち着いて聞いて下さい、長も猿助さんも。大声は出さないで、未だ周囲を確認出来ていない。
私は紗霧本人です、あなたは長、あなたが佐助さん。
そして私達は子供の姿、OK?」
「……竜の旦那みたいな話し方しないでくんない?」
文句を言いつつも一応呑み込んでくれたらしき佐助に安堵し、小太郎をみれば肯首されたため話を進める事とし、
「そっちの子供がかすがだと思うの、猿助さん起こしてあげて。」
「うお、本当だ、これ幼い頃のかすがだよ、里に居た頃こんなだった。
おい、かすが……」
佐助がかすがを起こそうとした時である。
「紗霧、此方に来る人間の気配がする。」
小太郎が喋った事実に驚いたものの突っ込んでる暇は無かった。此れに関しては一先ず保留である。
「相手が敵か味方か判らない。…仕方ありません、子供の振りで何とか話を合わせて下さい!」
完全に出たとこ勝負であった。