何時だって観るだけで
□至極当然
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「先ずは簡単なのからいくぞ。小手調べと言う奴だ。」
唐突に呼び出しを喰らう事となった紗霧が、己に可能な限りの最速のスピードでもって仕方なく、仕方なく!訪れた先の。
要するに生徒会長室であるが。(因みに今は授業中である為生徒会メンバーはいない。)
案の定録でもない事を言い出した生徒会長に、だが紗霧には逆らえる程の力もなければ気力も根性も何もなかった。
「それ、良いんですか?そんな事して……」
「この学校の全ては俺の物だ。
あれはある種の学校の備品、まぁ俺が持ち出した所で誰も文句1つ言いはしないが。」
(そーだろうけども…)
「調べは既についている。あれにかかった費用は学校の経費から落ちている。
ならばアレは俺の所有物でしかない。」
「けど、買いに行ったのは、」
「奴の身柄はこの学校に所属している。
ならばアレも俺の所有物だ。問題など何一つ在りはしない。」
(問題だらけだとしか思えません。)
「面倒だが、お前程度の頭でも理解出来るように懇切丁寧に話してやっている。
感謝し終わったなら直ぐに行って来るように。」
※※※※※※
といった納得は出来ない指示を受けてしまった為向かった先ーーー…例のスイーツ先生の根城、科学準備室であった。
勿論紗霧の能力を使った所で鍵を開ける事は出来ない為、入室は不可能である。
その為の生徒会長特権のカードキーは(無理矢理)預けられているので入れてしまうのである。
そして重ねて言うが、今はまだ完全に授業中である。
授業に出ていない生徒会長も謎であるが、更には妙な気紛れに付き合わされて授業に出ず此処にいる自分自身も相当謎である。
何故このような事になっているのか。
そう、これは以前言われた任務なのであったー…。
『諜報だ。情報屋のようなものと思え。』
紗霧の記憶が間違っていなければ、確かにそう言われていた筈であるが。
今の紗霧は誰がどう見ても諜報でなく……紛れもなく盗人そのものである。
今回の任務は急に甘味を食したくなった榊の為に、朝から並ばねばゲット出来ない限定品スイーツをーーー…
スイーツ先生の冷蔵庫から〈無断で〉くすね……持ち出す事であった。
(万が一にも見付かる訳にはいかぬ……!!)
いつになく真剣に能力全力発動である。
(せめて先生に許可を貰ってからなら、私もこれ程困らないモノを……!!何故!無許可なのか!)
と心の中で叫んだ処で榊はどうにかなるものでもない。