PAST

□白竜物語
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はじまり


昔、昔。


今からずっと昔のこと。


何もない、真っ白な世界がありました。


そこに、二体の竜がおりました。


一方は、無の世界に溶け込むような白い竜。


もう一方は、逆に無の世界で際立つ、黒い竜。


二体は、姉弟でありました。


いつも、楽しそうに遊んでいました。


そんなある時、白い竜がいいました。


「おとうさんがほしいな」


黒い竜もいいました。


「おかあさんもほしいね」


「つくろう!」


「そうだね!」


彼らには、その言葉を現実にする力がありました。


二体は、後の世で創世竜と呼ばれる存在だったのです。


二体の力で、白と黒しかなかった世界に、色が生まれました。


赤と、青と、緑と、黄色。


4体の竜は、二体の家族となりました。


賑やかになって、姉弟は大喜び。


「もっとつくろう!」


「なにをつくろう?」


「炎がいるだろう」


「水も必要ねぇ」


「草木が無いとだめでしょ!」


「地面は大切だ」


姉弟は、四元素の竜達の助言を受け、四元素を世界にもたらしました。


あっという間に、世界は色に満ちて行きました。


しかし、姉弟は満足しません。


「どうぶつさんほしい!」


「りすさん、うさぎさん!」


「肉を食う者もいるだろう。熊、狼・・・」


「水にも住んで欲しいわねぇ。魚と、亀とかもいいわねぇ」


「空にもいるよね!鳥とか、蜂もね!」


「大地に住むものも忘れるな。ミミズ、蟻・・・彼らも重要だ」


姉弟は、世界に生き物を作り出しました。


世界は、様々なもので彩られていきました。


姉弟も、四大も、世界に芽吹いた多くの物の誕生を、喜びました。


その中で、竜や神獣、精霊・・・そして、人間も生まれました。


人間が思考能力を得ると、彼ら始祖の竜達は、神竜と呼ばれるようになり、崇められるようになりました。


この頃には、彼らは創造を止め、生まれた生命が自ら物を生み出していくのを、見守るようになりました。
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