PAST
□Wolf side〜迫害される竜
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オレは森が好きだ。
大好きだ。
父さんと母さんも、同じ位好きだ。
オレは今日も、大好きな森を走る。
大好きな両親の所まで、一直線に。
『たっだいま〜!』
けれど、オレは人間が嫌いだ。
大嫌いだ。
森と両親が大好きなのと、同じ位には。
『・・・?』
あの日、家に帰ると、大嫌いな人間の匂いが確かにして。
『父さん!母さん!またニンゲンが来た、の・・・』
でも、奥へ入って見つけた匂いの主は、何故か嫌いになれない奴で。
丸まって浅い呼吸を繰り返すそいつに、オレは尋ねた。
『・・・お前、本当にニンゲン?』