SHORT
□タイニー・トラッカーズ
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ネス「気にならない?」
昼ご飯終わり、まだ食堂に人がちらほら残っている。
僕が食後の休憩を取ろうとすると、不意にネスが僕の顔を覗き込みつつ、真剣な顔でそう言う。
何が、と聞き返すと、横目でちらっと台所の方を見た。
そこにいたのは、リンクさんとゼルダ姫。
ゼルダ姫が何か頼み込んでいるようだが、リンクさんが慌てつつ断ろうとしている、という感じだった。
が、少しするとリンクさんが押し負け、了承したらしい。
ゼルダ姫は嬉しそうに笑っていて、嬉々として手袋を外していた。
トゥーン「おおかた、ゼル姉が洗い物を手伝おうとしたのを、リンク兄が手伝わせるまいと断ろうとした、って感じだね」
同じことを考えていたトゥーンが、僕が思った事をそのまま言葉にした。
ネス「まあ、二人が仲いいのはデフォルトって感じだけどさ・・・何か、変だよね?」
リュカ「え?」
ナナ「ええ、変よ!」
トゥーン「うわ!?」
トゥーンが驚きつつ飛びのくと、その後ろにずっといたらしいナナが、興奮した様子で此方に近づいて来た。
ナナ「今までは意地でも絶対手伝わせたりしなかったもの!」
リュカ「そ、それは確かに・・・」
わからなくもない、以前までは僕らに対しても同じようにしていた。
僕としては、何らかの重い理由があると思われてならないのだけど。
多分、シンパシーみたいなものなんだなと自己完結した(リンクさんも僕に対して似たようなものを抱いていることは以前に言われていた)。
そんなことを思い出している僕に構わず、ナナとネスの興奮は加速していった。
ナナ・ネス「「それだけじゃないのよ(んだよ)!」」
リュカ「わぁ!?」
ナナ「なんというかこう・・・違うのよ!」
ネス「全体的な雰囲気というか、表情と言うか・・・」
色々はっきり言うタイプの二人にしては、かなりふわっとした発言だった。
どうも掴み損ねているらしい。
トゥーン「で、結局何が言いたいのさ」
ネス「よくぞ聞いてくれました!」
それが言いたかっただけだよね、とトゥーンが突っ込む。
ネスは一瞬言葉に詰まったー図星だったようだ。
ネス「・・・ごほん、兎に角、僕たちが言いたいのは・・・」
ナナ「あの二人が付き合ってるんじゃないか、って事よ!」
その言葉に、僕らは黙り込み、辺りが大人たちの喧騒に埋め尽くされた。