PAST

□SHORT PAST
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天馬「葵!?」


フェイ「ま、まさか・・・!」


急いで悲鳴のした方へ向かう。


葵「嫌!来ないで!」


剣城「何なんだこいつら・・・」


剣城達が奇妙な怪物に囲まれていた。


天馬「”真マッハウィンド”!」


咄嗟に持っていたボールを怪物に向かって放つ。


怪物が一瞬怯んだ隙に、囲まれていた皆が抜け出す。


剣城「フェイ!?お前、何で」


フェイ「説明は後!こいつら早くどうにかしないと!」


ワンダバ「取り合えず皆キャラバンに・・・」


そう言ってワンダバがキャラバンの方を向く。


ワンダバ「な、無い!?確かにあそこに」


フェイ「上だよ!風で飛ばされてる!」


神童「あそこだけにそんな強風が・・・?」


「グルルル・・・」


怪物たちの唸り声が聞こえてきた。


霧野「天馬、伏せろ!」


天馬「!」


霧野先輩の声が聞こえて、咄嗟に伏せる。


霧野「ぐああっ!」


神童「霧野!?」


霧野先輩の腕から、赤い液体が滴り落ちた。


それが血だと理解するのに、そう時間はかからなかった。


天馬「き、霧野先輩・・・」


霧野「他の場所は同じような連中が大量にいる!もうグラウンド(こっち)はダメだ!お前らだけでも早く!」


信助「で、でも!」


狩屋「・・・キャプテン、「何とかなる」、だろ?」


輝「・・・あとは、お願いします」


何を、と言いかけたのを、剣城がオレの腕を引っ張って遮った。


狩屋「・・・オレ達サッカー部が今できるのは、怪物相手に時間を稼ぐことだけだ・・・」


輝「でも・・・「絶対何とかなる」から・・・全力で足止めします!」


天馬「狩屋、輝!」


一瞬、二人に駆け寄りそうになったのを、剣城に腕を強く引っ張られて止められた。


・・・あとから思ってみれば、この時の剣城の判断は正しかった。


だけど、オレはもがいた。


不気味な怪物たちに自ら向かい、倒されていく仲間の姿が、視界に映る度に。


剣城「後ろ向くんじゃねェ!行くぞ!」


天馬「嫌だ、放してよ剣城!」


剣城「泣いてる場合か!キャラバンまで走れ!早く!」


天馬「ーーーッ!」


すぐ後ろの光景に背を向けながら、オレは走った。


・・・オレ以上に泣いていた剣城の顔も、見なかったことにした。


天馬(ごめん・・・ありがとう)







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