長編
□俺はあくまで傍観者
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「おい、わが弟よ。」
俺が部屋でPCをいじっている兄が入ってきた。
男同士だからってノックなしはどうかと思うんだが・・・。
「どうかなさいましたか、兄様。」
兄が変なノリで話しかけてくるのでのってやるとぐっと親指を立てられた。
どうやらこの対応は正解だったようだ。
「お前、成績だけは無駄によかったよな。完璧少年よ。」
「無駄は余計だけど、その通りだよ。成績はいいほうだと思うよ。それがどうしたの?まさか兄貴まで俺に勉強ばっかの堅苦しい高校に行けなんて言わないよな?」
「いや、堅苦しい高校に行けなんて言わないさ。いや、言えないな。俺、そこまで成績よくなかったから・・・。」
「はぁ・・・。じゃあ何しに来たんだよ。」
「おま・・・。そんな態度とっていいと思ってんのかよ。今日は兄弟としてはなく同志として話に来てやってんのに。」
「まじかよ。まさかだが兄貴・・・。」
「あぁ、そのまさかだよ。お前、昔よく遊んでた雅樹って奴覚えてるか?」
「まさにぃ?覚えてるよ。」
「クッ・・・お前実の兄は兄貴呼びなのに雅樹はまさにぃかよ。」
「あぁ?なにいってんだよ。」
「いやなんでもない。で、その雅樹が王道的にある学園の理事長をやってんだよ。」
「え、まさにぃって金持ちだったの?」
あれ?
遊びに行ったとき普通の家だったよな。
まさか、大出世?
「あぁ、しっかり社会に出たときにちゃんと生きていけるように庶民の生活を子供のうちにやらしとくんだってよ。」
「へぇ・・・。で、まさにぃが理事長をしている学園がなんだよ。」
「雅樹がお前のこと覚えててさぁ。お前を自分が経営している学園に入学させたいって招待状渡してきてさ。」
「あぁ?!マジかよ・・・。」
そこは甥にやるだろう。
そして兄貴に報告してくれれば・・・。
「でさ、お前の成績の話したら推薦で入れたいってさ。」
「わお・・・。」
まさにぃ俺ひいきすげぇ。
「とりあえずお前は王道学園に行って細かく報告よろ。」
「よろっじゃねぇよ。この世には腐男子受けっていう恐ろしいもんがあんのを知らねぇのかよ。」
「頭のいいお前なら大丈夫だ。学園に行ってくれたら報酬として月5冊BL漫画俺の自腹で送ってやるよ。」
「まじか。しゃーねーからやってやるわ。」
「まじで報告頼むな?俺は飢えてんだよ。」
「まかせとけ。」