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□僕のもの(続編)
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ジャラッ……


今日も目を覚ませば、冷たい鎖が私の腕に絡みついている。


足首にも同じように。



私はベットから身体を起こす。


暗くて、あまりよく見えない。



でも、だんだん目が慣れてくる。



ガチャ………




ドアの開く音。



あいつが来る。



寝たふりをするべきか……


そう思い、もう一度身体をベットに沈みこませる。



そして、目を瞑った。




足音が近づいて……


私の横たわるベットの側まで来た。


きっと真横にいる。


ギシッ……



とベットの軋む音がした。



ギュッと目を瞑る。


すると、頭にふわりとなにかが触れた。


それは、私の髪を上から下へとゆっくり撫でる。



「…………寝たふりなんて意地悪だなぁ」



『……』



私は目を開けるものかと、黙って寝たふりを続けた。


「あはは………かなみ……起きないなら……」




私は寝ていた身体を無理矢理起こされる。


「この無防備な首筋に牙を埋めちゃうよ」



『っ……』


「あ、起きた」



クローリーはふわりと笑い、そのまま私の首筋に噛み付いた。


結局吸われるのだ……


抵抗など、拘束されているうえクローリーに抱き締められている。


どう足掻いても無理な話だった。


ちゅー……

首筋から高い吸血音が聞こえる。


この音は、私の頭をボーッとさせる。だからと言ってどうにもできず、私はただ、この行為が終わるのをじっと待った。



血を吸った後、彼は力ない私を更にギュッと抱き締める。



「好きだよ」



重い言葉だった。




重たくて、押し潰されそうで、助けてくれと、叫びたくなる。


そんな叫びなど、この暗い地下の部屋では意味もないだろうに。



『外に出たい』


「ダメ」



そう言ってクローリーは頭を撫でる。


その撫で方は心地が良いものではない。


怖くて…


苦しくて…



いっその事死ねればいいのにって



でも、頭にちらつくのは深夜の存在で



今でも私を探してくれていればいいなって、そう思う。







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