request(旧)
□僕のもの
1ページ/18ページ
深い愛。
深過ぎる愛は
やがて狂気へとかわる。
私はまだ、愛さえも知らない子供だった。
『シノア姉さん』
その言葉に、シノアは嫌な顔を向けた。
「かなみちゃん、その呼び方やめてくれません?むず痒いんです」
姉のことをこう呼ぶのは普通ではないかと思う。
でも、シノアちゃんは気に入らなかったらしい。
『じゃあ……シノアちゃん』
そう呼ぶと、先ほどとは変わって可愛らしい笑みで
「なんですか?かなみちゃん」
『外へ遊びに行こう!』
そう言うと、シノアちゃんはポカンとして
「あ、あは〜…………かなみちゃん、一度世界が崩壊したこと知ってます?」
『当たり前でしょ』
「ならどうしてそんな言葉が出てくるのでしょうか…。今は外は危険です。絶対ダメです」
シノアちゃんはめっのポーズをする。
子供扱いされている……。
『シノアちゃんは鬼呪装備持ってるじゃん。私を守ってよー』
「あ、あのねぇ……まだこれ、使いこなせるまでいってないんで。……というか、使いこなせてても外はダメですからね!」
ダメの一点張り……。
仕方ない。
『わかったよ……』
くるりと部屋の扉の方へ向かう。
「ちょ、どこへ行くんですか?」
『ちょっと屋敷の中を散歩してくる!シノアちゃんは寝てていいよ!』
そう言って、扉を開けて廊下へ出た。
シノアちゃんは追いかけて来なかった。
もー、という声が扉の奥から聞こえただけ。
まぁ、それの方が都合がいい。
私は、屋敷の外へ出ようと玄関へ向かった。
だが……
玄関にはもちろん使用人がいて、いわば見張りがいる。
私のような子供が出て行くことなんて許されない。
『どーしよっかなぁ……』
呪符をつかって、使用人2人くらいならまぁ……気絶させるくらいは……「おい」
急に後ろから呼びかけられ、私は飛び上がるほどに驚いたのは言うまでもない。
.