リクエスト企画

□君の声
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「何故貴族の拠点にいた?」

真っ暗な部屋。
ランプが一つ。
私は口を閉じ、ぼーっと上を見上げる。
喉が渇いている…
もう何日…何も口にしてないのだろうか…
体の彼方此方が痛い…
腕は後ろで拘束されていて、椅子に括り付けられている。

たしか……市役所で留守番してたはずなんだけど……
いつの間にか捕まえられてて……


「おい…一般市民にここまで拷問して大丈夫か?」


男の人の声。
目が霞んでいて、どちらが発しているのか分からないが…
私の目の前には2人の男がいる。


「俺らが情報を聞き出して、本部に伝えれば…俺らの昇格決定だ。もう少しやるぞ」


男が私の髪の毛を掴んだ。
髪の毛が引き千切られそうな程の痛み。だが、抵抗する力はもうない。

「あそこの拠点は…第何位始祖で、なんという奴の拠点だ?」


私は口を開ける。
でも…

「し……らな……」

その瞬間、お腹に鈍痛が走る。
殴られた。何度目だろう。痛い……苦しい……


『げほっ……』


床に血が飛び散る。
自分が拷問を受けることは、決して予期してないことではなかった。
日本帝鬼軍に捕まれば、こんな風に拷問されてしまうことはわかってた。

でも……私は……

私を助けてくれたクローリーの味方だ。
彼の名前は死んでも口にしない。


「おい……そろそろやべーんじゃねぇの?もう本部に送ってそっちに……」

「うっせーよ。……一般市民のくせにほんとしつけぇやつだな……」


目の前で、微かに刀が抜かれる音が響く。
ビクリと肩が震えた。

「もっと痛い目にあわねーと……喋らねぇのかよ」

「おい、もうやめとけって……拷問なんて俺らの仕事じゃねーし……ここで何かあったら……」

「あ?外は幻術で撹乱してる。吸血鬼にはバレねーよ」


私の太ももに、冷たい刃が当てられた。


「おい。ここに突き刺されたくなかったら……さっさと話せ」

『……』


怖くなかった。
別に、どれだけ苦しいことがあっても……

「くそっ……脅しじゃねーぞ」


足に強く刀が当てられた。
チクリと足が痛む。だが、まだきっと肉は裂けてない。

『……』

絶対に何も言わない。
声なんて出してやらない。
心に決めて、ぐっと男の方を睨みつけた。

「……ふん……」


男はだるそうに刀を上にあげた。
そして、私の方に振り下ろそうとする。

どれだけ刺されたって、たとえ殺されたって……
叫び声さえ上げてやらないんだから。

そう思い、ゆっくり目を閉じた。





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