リクエスト企画

□真実を知った先で
2ページ/5ページ

ガチャ……


部屋の扉が開き、ウルドが入ってきた。いつもなら、嬉しく思うのだが、彼の顔つきは何時もと違っていた。


「……気分はどうだ」

『なんの問題もないよ。……何かあったの?騒がしいけど……』


ベットに座っていた私の横に、ウルドもゆっくりと腰を下ろす。


「…少し……面倒なことになった」

『面倒……?』


私は思わず不安な顔をしてしまう。
ウルドは強い。彼が面倒だと思うことが起きるなんて、どういうことだろうか…

「……日本へ行く」


私は目を見開く。
日本……私が育った場所。
もうあれから、日本へは行っていない。私には、もう関わりのないところだと思っていた。
ウルドだって、私をもう日本へは連れて行かないと言っていた。
それは、私の為だろう。あの頃のことを思い出してしまうから。


「少し……問題が起きている」

『……どれくらい?……私は……行けないんでしょ?』

そう言うと、ウルドは苦しそうにこちらを見る。

「…連れて……行きたい」

『え……』


私は驚いてウルドを見る。
日本へは、もう行ってはいけないものだと思っていたから。

「だが……奏実が日本へ行けば、あの頃のことを思い出してしまう。辛い思いをさせてしまう」


ウルドは、私をゆっくりと抱き締める。


「…………でも……一緒に来て欲しい。絶対に守る。…辛い思いはさせない。……勝手だが、一緒に付いてきてはくれないか?」


抱き締める力が強く、私の心はきゅうっと締め付けられる感覚に陥った。

私は……置いて行かれるんだと思っていたから。
だから彼は、私に話をしに来たんだと。


『……連れてってくれなかったら、ウルドがいないうちに死んでやるって脅すつもりだったよ』

そう言うと、ウルドはぴくりと身体を反応させる。

そして、ゆっくり身体を離し、私をじっと見つめる。


「……来て……くれるのか」

『当たり前。……私は、もうウルドなしじゃ生きられないから』


そして、ウルドの唇にそっとキスをする。
軽くして離れようと思っていたのだが、ウルドはそのまま私を押し倒してきた。


「……私もだ。……置いて行くなんて選択肢はなかった。たとえ嫌がっても連れて行くつもりだったさ」

『……ウルドって…優しいのか強引なのか分からないよね』


ウルドは目を細め、私の首筋に甘く噛み付く。
血を吸うわけではない。ただ、舌を這わせてくすぐるように刺激を与えてくる。


「優しくしたいが……できない時もある」


そのまま、彼の冷たい手が服の中に滑り込んでくる。
ドキドキして、身体が固まってしまうけど、彼はそれを解して行くように甘いキスを落としていく。


彼が優しくしないわけがない。


そんな思いで、私はゆっくりと目を瞑った。




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ